LDL-Cについて
現在、LDL-Cの直接法と間接法(Friedewald式)による乖離は臨床判断に影響を与えるため、患者背景や測定条件に応じて使い分けることが推奨されています。乖離の解釈には、non-HDL-Cや新しい推定法(Martin法など)を補助的に用いる動きも進んでいます。
直接法と間接法の違いと乖離の背景
間接法(Friedewald式)は、総コレステロール・HDL-C・中性脂肪(TG)からLDL-Cを推定する方法で、多くの臨床試験で用いられてきた標準的手法です。
式:LDL-C = TC − HDL-C − TG/5
空腹時採血が前提であり、TGが400mg/dL以上では精度が低下します。
直接法は、ホモジニアス法などを用いてLDL-Cを直接測定する方法で、食事の影響を受けにくく、随時採血でも使用可能です。
ただし、試薬間の反応性差やIDL(中間比重リポ蛋白)への感度の違いにより、糖尿病やIII型高脂血症では乖離が生じやすい。
乖離の臨床的取り扱いと最新動向
乖離の傾向:
TGが高い場合、Friedewald式ではLDL-Cが過小評価される傾向があります。
逆に、IDLが増加する病態では、直接法で過大評価される可能性があります。
臨床での対応:
non-HDL-C(TC − HDL-C)を補助指標として用いることで、VLDLやIDLを含む動脈硬化リスクを包括的に評価できます。
TGが200mg/dLを超える場合は、直接法またはnon-HDL-Cの使用が推奨されます。
新しい推定法の導入:
Martin法など、TG値に応じて係数を変える柔軟な推定式が登場しており、Friedewald式よりも精度が高いとされ、今後の臨床試験でも採用が進む可能性があります。
ガイドラインの動向:
日本動脈硬化学会は、直接法と間接法の使い分けを明示しており、臨床判断では測定法の違いを考慮することが重要としています。
✅ まとめ
臨床試験の多くはFriedewald式を使用しているため、直接法との乖離を理解したうえで解釈する必要があります。
TG高値や食後採血では直接法が推奨され、non-HDL-CやMartin法などの補助指標が活用されています。
今後は測定法の標準化と、乖離を補正する新しい推定法の普及が進む見込みです。




