隠れマルコフモデル
隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model, HMM)とは、観測できない「隠れた状態」が時間とともに変化し、それに応じて観測可能なデータが生成される確率モデルです。
隠れマルコフモデルの基本構造
隠れマルコフモデルは、以下の要素で構成されます:
隠れた状態(Hidden State) 実際には存在するが直接観測できない変数(例:天気、話者の意図、DNAの機能領域など)。
観測(Observation) 隠れた状態に基づいて得られるデータ(例:傘の有無、音声波形、文字列など)。
状態遷移確率(Transition Probability) 時間の経過に伴って、ある隠れ状態から別の隠れ状態に移る確率。
出力確率(Emission Probability) 各隠れ状態から、どの観測が得られるかの確率。
初期状態確率(Initial Probability) 最初の時点でどの隠れ状態にあるかの確率。
️ 例:天気と傘の観測
隠れた状態:晴れ/雨(直接観測できない)
観測:傘を持っている/持っていない(観測可能)
モデルは、傘の有無という観測データから、天気の状態を推定します。
応用分野
音声認識:音声波形から話された言葉を推定
自然言語処理:品詞タグ付け、文脈解析
バイオインフォマティクス:DNA配列の機能領域の予測
ユーザー行動分析:クリック履歴から興味や意図を推定
推論アルゴリズム
Viterbiアルゴリズム:最も確からしい状態系列を求める
前向き・後向きアルゴリズム:観測系列の確率を計算
Baum-Welch法:モデルパラメータの学習(EMアルゴリズム)
隠れマルコフモデルは、不確実性のある時系列データを扱うための強力なツールであり、AIや統計解析の基礎技術として広く利用されています。
2025年10月10日 | カテゴリー:AUTODOCK VINA,CLUS PRO/BIOINFORMATICS |




