2024年3月
タンパク質バイオインフォマティクスの意味
タンパク質の配列から機能や構造を予測したり、構造と機能の関連を理解したりして、ひいては人の手で設計さえできるようになるのが目的でそこまでわかれば病気の理解、創薬による疾患の克服さえも可能ということになります。一般内科でこれを理解する意義は疾患、薬剤の効果を考えるときに情報さえあればわかるようになるということです。
2024年3月31日 | カテゴリー:AUTODOCK VINA CLUS PRO |
サルコイドーシスにおけるMΦ
サルコイドーシスは多臓器に類上皮細胞肉芽腫をつくる疾患で、胸郭内や眼病変のほか皮膚病変の頻度が高く約25%の患者さんに皮膚病変が認められます。皮膚病変は形態学的多様性を示すため、病理組織学的な確認が必須である。発症率を統計学的に追うとHLAに関する報告が多いことや肉芽腫やT細胞が無刺激でIFN-γを産生し、それによりMΦが肉芽腫を形成しています。
強皮症とマクロファ-ジ
強皮症は免疫異常、線維化、血管障害を来す疾患です。レイノー症状、皮膚の硬化、肺線維症、強皮症性腎クリーゼ、逆流性食道炎などを起こします。 強皮症患者さんの皮膚にはCD163+MΦが増加していますのでMΦが強皮症における線維化のドライバーであることが示唆されています。強皮症患者さんではM2表面マーカーのCD163,CD206,CD204やM1マーカーであるCD80,CD86,TLR2,TLR4も発現しています。SINGLE CELL RNA SEQ法で2種類のMΦが混在していることがわかっています。つまりそれぞれの細胞で活性化している酵素を阻害するという治療法の開発が望まれるということです。
PYMOLを用いた蛋白変異体の作成/翻訳後修飾
PYMOLを用いて2HYBRID法で分かっている蛋白蛋白結合の異常のパターンや翻訳後修飾による新規のダイマライズによる異常シグナルの発現予想をある意味ライフワークで少しずつでも計算しています。PATCH DOCKなども使用して計算をしています。
2024年3月30日 | カテゴリー:新着情報, AUTODOCK VINA CLUS PRO |
破骨細胞とマクロファージ
一般に、MΦの分化成熟は単球が組織内に遊走して組織からの刺激を受けることで起こることが知られている。またそのときに形質(形態的、機能的)が決定する。例えば、肺においてはTGF-βやGM-CSFによって誘導される。また肝においてはM-CSFやDLL/NOTCHシグナルによりKUPPFER細胞となる。
破骨細胞は、単球/MΦ系の前駆細胞が骨髄内でRANKLやM-CSFにより分化誘導される。その過程でDC-STAMPやOC-STAMPのような分子を発現することで細胞同士が融合し多核化する。(ちなみに、巨核芽球では核分裂をするが細胞質分裂しないので多核化している)(さらに興味深いのはAML1遺伝子をKOすると巨核芽球も破骨細胞も消失し大理石病をおこす)この分化のENDSTAGEでNFATc1転写遺伝子が発現する。骨吸収窩では破骨細胞が産生したH+やCL-、骨基質分解酵素のカテプシンKやMMP9によってカルシウムアパタイトやⅠ型コラーゲンを分解している。興味深い報告は骨回転を速くしている破骨細胞の由来と正常骨回転の破骨細胞の由来が違うかもしれないということである。この辺に、骨粗しょう症のメカニズムや各薬剤の反応性の奇異性の秘密があるかもしれない。
NASHにおけるマクロファージ
NASHでは、単球が遊走して多様なマクロファージ集団を形成しています。最近では、クッパ-細胞のエンハンサ-活性の変化と誘導された単球の微小環境依存的な反応により4種類の単球がクッパ-細胞と交代に出現することがわかってきた。ここから、肝臓の様々な状態と鏡面的な相互反応をしながら各状態へと進展してくと考えられている。
腎臓に浸潤しているマクロファージについて
慢性腎臓病などのない正常な腎臓の場合は、胎生期から存在するマクロファージが存在する。もともと常在しているので自己増殖能を持っている。腎の間質にあり、FcgammaR4
を発現している。この常在性マクロファージは血中に存在する多くの物質を監視するために存在し、過剰にある物質が増加すると反応し活性化し炎症性のサイトカインを産生する。
腎の過ろ過によってPERICYTEの線維化が最近話題になっているが、その反応を強めるように幇助機能もある。
一方、腎障害時においては単球由来の古来から報告のあるM1マクロファージが浸潤してくる。急性期の腎障害が経過するとM2マクロファージの浸潤にシフトしてくる。状況によってM1<>M2はレシプロ-カルに分化できる。
流行性上気道炎をおこしやすい細菌
市中細菌と呼ばれたりしますがいかのものが多いようです
ストレプトコッカス・ピュージェネス: 喉の痛みや扁桃腺の炎症を引き起こすことがあります。
ヘモフィルス・インフルエンザ: 中耳炎や副鼻腔炎を引き起こすことがあります。
モラクセラ・カタラーリス: 中耳炎や副鼻腔炎の原因となることがあります。
ブドウ球菌: 皮膚感染症や喉の炎症を引き起こすことがあります。
心臓に浸潤しているマクロファージの多様性
細胞自身の酸化ストレス状態や全身的な炎症状態によって臓器に浸潤している単球系細胞にはいろいろな種類がありそれが組織特異的に変化があります。
心臓では近年、3種類にマクロファージが分類されています
TIMD4+LYVE1+MHC2lowCCK2-細胞
TIMD4-MHC2hiCCR2-細胞
TIMD4-MHC2hiCCR2+細胞 です。
TIMD4+細胞はいわゆるPERICYTEの可能性が高く胎生期から血管とともに存在するものです。
TIMD4+CCR2-細胞はCD4Tに抗原提示しますがそれ以上機能がはっきりしていません、心筋の電気的刺激の調整を行っているのではというゆるい仮説が期待されています。
TIMD4-CCR2+細胞は末梢血単球由来で心筋からの連絡を受けインフラマソームの活性化をコントロールしていると考えられている
このような細胞群の機能を理解しておくことがこれからの心不全治療につながると研究者が従事しています。(小郡/山口/財津)