BP180抗体
結論:抗BP180抗体(特にNC16a領域に対する抗体価)は、水疱性類天疱瘡の診断補助だけでなく病勢や治療効果のモニタリング指標として有用とされています。
🔎 抗BP180抗体の臨床的意義
標的抗原:BP180(XVII型コラーゲン)は水疱性類天疱瘡の主要抗原のひとつ。患者血清中の抗BP180抗体は高率に検出されます。
診断補助:抗BP180抗体の測定は、水疱性類天疱瘡の鑑別診断に役立ちます。特にELISA法やCLEIA法でNC16a領域に対する抗体を測定することが一般的です。
治療効果判定:抗体価の変動は皮膚症状の改善や水疱の消失とよく相関し、治療効果のモニタリングに利用可能です。
📊 治療指標としての活用
抗体価の低下=病勢の改善 ELISAで測定した抗BP180抗体価は、ステロイドや免疫抑制薬による治療後に低下し、皮膚症状の改善と一致することが多いです。
再燃予測 抗体価が再上昇する場合、臨床症状の再燃に先行することもあり、再発予測の指標としても有用と報告されています。
保険適用 日本では「水疱性類天疱瘡の鑑別診断または経過観察中の治療効果判定」を目的とした抗BP180抗体測定が診療報酬上認められています。
⚠️ 注意点・限界
症例差が大きい:抗体価と症状が必ずしも一致しない患者も存在します。
他疾患との鑑別:抗BP180抗体は主に水疱性類天疱瘡で陽性ですが、妊娠性疱疹などでも検出されることがあります。
総合判断が必要:抗体価だけでなく、臨床症状・病理・蛍光抗体法などを組み合わせて総合的に評価することが推奨されています。
✅ まとめ 抗BP180抗体は水疱性類天疱瘡の診断補助・病勢評価・治療効果判定・再燃予測に有用であり、臨床的に「治療指標」として活用されています。ただし、症例によって抗体価と症状の相関が弱い場合もあるため、補助的指標として位置づけるのが適切です。
Sources: 日本皮膚科学会 類天疱瘡診療ガイドラインLSIメディエンス 検査案内MBL 自己免疫性水疱症の検査SRL総合検査案内
2025年12月9日 | カテゴリー:各種治療学, 関節リウマチ リウマチ外来, 膠原病, 皮膚科的疾患 |




