血清の骨代謝マーカー
答え:血清で測定される骨代謝マーカーには、骨形成マーカー(BAP、P1NP、オステオカルシンなど)と骨吸収マーカー(TRACP-5b、CTX、NTXなど)があり、骨粗鬆症の診断や治療効果判定に用いられます。
骨形成マーカー(骨芽細胞の活動を反映)
BAP(Bone-specific alkaline phosphatase:骨型アルカリホスファターゼ) 骨芽細胞が産生する酵素。骨形成の代表的マーカー。
P1NP(Procollagen type I N-terminal propeptide) I型コラーゲン前駆体の断片。日内変動や腎機能の影響が少なく、臨床でよく使われる。
オステオカルシン(OC) 骨芽細胞が産生する骨基質タンパク。骨形成の指標。
骨吸収マーカー(破骨細胞の活動を反映)
TRACP-5b(Tartrate-resistant acid phosphatase 5b) 破骨細胞由来の酵素。血清で安定して測定できる。
CTX(C-terminal telopeptide of type I collagen) I型コラーゲン分解産物。血清や尿で測定可能。
NTX(N-terminal telopeptide of type I collagen) I型コラーゲン分解産物。尿や血清で測定される。
臨床での役割
骨粗鬆症の診断補助:骨密度検査では分からない「骨代謝の動態」を把握できる
治療効果判定:薬剤開始後3〜6か月で再測定し、効果を早期に確認可能
骨折リスク評価:骨吸収マーカーが高いと骨密度減少が早く、骨折リスクが高いと判断される
⚠️ 注意点
日内変動:骨吸収は深夜から早朝にかけて亢進するため、採血は午前中が望ましい
腎機能の影響:一部のマーカーは腎機能障害で値が変動するため、解釈に注意が必要
補助的検査:骨密度測定と併用して総合的に評価することが重要
まとめ:血清の骨代謝マーカーは、骨形成では BAP・P1NP・オステオカルシン、骨吸収では TRACP-5b・CTX・NTX が代表的です。骨粗鬆症の診断や治療効果判定に有用ですが、骨密度検査と組み合わせて総合的に判断する必要があります。
2025年12月15日 | カテゴリー:骨代謝と整形外科的疾患 |




