アルコール多飲と酸化ストレス
アルコール多飲(過剰飲酒)はスーパーオキシド(O₂⁻)の産生を増加させることが知られています。これは主に代謝の過程で活性酸素種(ROS)が生成されるためです。
アルコール多飲によるスーパーオキシド増加のメカニズム
ミトコンドリアの過剰活性化
アルコールは肝臓で代謝される際にミトコンドリアの電子伝達系を活性化し、その過程でスーパーオキシドが漏れ出しやすくなる。
長期のアルコール摂取はミトコンドリア機能障害を引き起こし、酸化ストレスが慢性化。
CYP2E1酵素の活性化(肝臓)
アルコール代謝にはCYP2E1(シトクロムP450 2E1)が関与し、この酵素はスーパーオキシドの生成を増加させる。
長期のアルコール摂取でCYP2E1の発現が上昇し、酸化ストレスが強まる。
好中球活性化(炎症反応)
好中球活性化(炎症反応)
アルコール多飲は全身の炎症を引き起こし、好中球(免疫細胞)がスーパーオキシドを産生。
これが組織傷害や臓器障害の原因となることも。
アセトアルデヒドの影響
アルコール代謝の中間産物であるアセトアルデヒドは酸化ストレスを誘導し、スーパーオキシドを増加させる。
肝臓だけでなく、心血管系や神経系にも影響を及ぼす。
抗酸化システムの破綻
長期のアルコール摂取によりスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)やグルタチオン(GSH)の活性低下が起こる。
これがスーパーオキシドの蓄積を助長し、細胞障害を増幅。
臓器への影響
肝臓(アルコール性肝炎・肝硬変) スーパーオキシドが増加し、肝細胞の障害が進行。
心血管系(高血圧・動脈硬化) 血管内皮障害が起こり、酸化ストレスによる動脈硬化が促進。
脳(神経変性・認知機能低下) スーパーオキシドの蓄積が神経細胞の機能障害を引き起こし、アルツハイマー病リスクが増加。
アルコールによるスーパーオキシド産生は様々な疾患のリスクを高めるため