血中のコレステロールをあげる食品
遊離脂肪酸(Free Fatty Acids, FFA)を多く摂取すると、血中コレステロールが上昇する理由にはいくつかの生理学的メカニズムが関与しています。以下にその代表的な流れをわかりやすくまとめます。
遊離脂肪酸とコレステロール上昇のメカニズム
1. VLDL(超低密度リポタンパク質)の増加
遊離脂肪酸は肝臓に取り込まれ、トリグリセリド(中性脂肪)に再合成されます。
肝臓はこれをVLDLとして血中に放出します。
VLDLは血中で分解されていく過程で、LDL(悪玉コレステロール)に変化します。
よって、遊離脂肪酸の摂取が多いほどLDLが増加しやすくなる。
2. 脂質代謝のバランス崩壊
遊離脂肪酸が過剰になると、肝臓での脂質代謝が過活性化され、コレステロール合成も促進されます。
特に、HMG-CoA還元酵素という酵素が活性化されると、コレステロール合成が加速します。
3. HDL(善玉コレステロール)の低下
遊離脂肪酸の過剰は、HDLの生成や機能を阻害することがあり、コレステロールの回収能力が低下します。
その結果、血中に残るLDLが増加しやすくなる。
まとめると…
遊離脂肪酸の影響 | 結果 |
---|---|
肝臓でのVLDL合成促進 | LDL(悪玉)増加 |
コレステロール合成酵素の活性化 | 血中コレステロール上昇 |
HDLの機能低下 | コレステロールの回収低下 |
補足:脂質の種類にも注意
飽和脂肪酸(動物性脂肪など)はLDLを増やしやすい。
不飽和脂肪酸(青魚や植物油)はLDLを減らし、HDLを増やす効果がある。
よって、脂肪酸の「量」だけでなく「質」もコレステロール管理には重要です。
コレステロールの合成
コレステロールは食事として外から吸収するだけでなく、体の中でも合成されます。実は食事から得られるコレステロールは約20%であり、残りの約80%は体内で合成されます。
このとき合成されるコレステロールは糖質や脂質、タンパク質などを原料として構築されていきます。
なお、肝臓でコレステロール合成を行う上で重要となる酵素としてHMG-CoA還元酵素があります。HMG-CoA還元酵素はコレステロールをどれだけ合成するかの速度調節に関わっています。
そのため、体の中でのコレステロール合成を考えるうえで「HMG-CoA → メバロン酸」の経路が重要となります。