キイトルーダの口内炎
キイトルーダ(ペムブロリズマブ)による口内炎は、免疫チェックポイント阻害薬の副作用の一つとして報告されています。免疫関連有害事象(irAE)の一環で、口腔粘膜炎やびらんが長引くことがあります。
なぜ起こるのか
キイトルーダは PD-1阻害薬で、免疫を活性化してがん細胞を攻撃します。
その結果、免疫が過剰に働き、正常な粘膜にも炎症が起こることがあります。
抗がん剤による細胞障害性の口内炎と異なり、免疫性の炎症が主体です。
⚠️ 症状の特徴
びらんや潰瘍が頬粘膜や舌に広がる
白色変化や発赤を伴うことがある
痛みや食事困難が長期に続く場合がある
抗菌薬やうがい薬だけでは改善しにくく、ステロイド外用や免疫抑制治療が必要になることもある
対応・治療
口腔ケア:やわらかい歯ブラシ、頻回のうがい、保湿ジェル
局所治療:ステロイド軟膏や麻酔薬入り含嗽剤で炎症・痛みを緩和
全身治療:重症例ではキイトルーダの休薬や免疫抑制薬(ステロイド内服など)が検討される
専門医連携:歯科・口腔外科と腫瘍科の連携が重要
まとめ
キイトルーダによる口内炎は 免疫関連有害事象として起こり得る。
長引くびらんや潰瘍が特徴で、通常の抗がん剤性口内炎より治りにくい。
早期に医師へ相談し、ステロイド外用や免疫抑制治療を検討することが重要です。
抗がん剤性の口内炎は、抗がん剤の副作用として比較的高頻度に起こる粘膜障害で、痛みや食事困難を伴うため生活の質に大きく影響します。予防と早期対応が重要です。
なぜ起こるのか
直接的な粘膜障害:抗がん剤が唾液や血流を介して口腔粘膜に作用し、細胞分裂が阻害されて粘膜が荒れる。
免疫低下による感染:抗がん剤で白血球や好中球が減少すると、口腔内細菌や真菌が増え、二次感染から口内炎が悪化する。
発症時期:投与開始から数日~10日程度で出現することが多い。
⚠️ リスクの高い薬剤
代謝拮抗薬:5-FU、S-1、カペシタビン、メトトレキサートなど
プラチナ系薬:シスプラチン、カルボプラチン
タキサン系薬:ドセタキセル、パクリタキセル
分子標的薬:エベロリムス、スニチニブ、セツキシマブなど
発症頻度は通常の化学療法で約40%、造血幹細胞移植前処置では80%以上に達するとされます。
予防とセルフケア
口腔内の清潔保持:やわらかい歯ブラシでの歯磨き、頻回のうがい(水・塩水・重曹水など)。
保湿:口腔内の乾燥を防ぐため保湿ジェルや人工唾液を使用。
刺激物を避ける:辛いもの、酸味の強いもの、熱い飲食物は避ける。
栄養管理:柔らかい食事や高カロリー流動食で体力低下を防ぐ。
医療的対応
鎮痛薬:局所麻酔薬入りの含嗽剤やゲルで痛みを緩和。
抗菌薬・抗真菌薬:二次感染が疑われる場合に使用。
支持療法:点滴や経管栄養で栄養補給。
重症例:抗がん剤の投与スケジュール調整や休薬が必要になることもある。
まとめ
抗がん剤性の口内炎は 30〜40%と高頻度に発生する副作用であり、口腔ケア・保湿・刺激物回避が予防の基本です。症状が強い場合は 鎮痛・抗菌治療や抗がん剤の調整が必要になるため、早めに医療者へ相談することが重要です。
Sources:
2025年12月13日 | カテゴリー:サイトカイン/ケモカイン/ホルモン, 各種病因学, 癌の病態生理と治療学, 免疫疾患 |




