側頭動脈炎
頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)は、50歳以上に多く発症する血管炎で、失明や大動脈瘤を引き起こす可能性があるため、膠原病の中でも緊急性が高い疾患です。早期のステロイド治療が生命予後と視力保護に不可欠です。
側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)とは
定義:大動脈やその分枝、特に側頭動脈に炎症が起こる血管炎
別名:以前は「側頭動脈炎」と呼ばれていたが、現在は「巨細胞性動脈炎」と呼ばれる
好発年齢:50歳以上、高齢女性に多い
頻度:欧米白人に多く、日本では比較的まれ
⚠️ 主な症状
新規発症の頭痛(特に側頭部)
顎跛行:咀嚼時に顎がだるくなる(虚血症状)
視力障害・失明:約20%に視力消失が起こる
全身症状:発熱、倦怠感、体重減少
合併症:リウマチ性多発筋痛症を約40%に伴う
診断
血液検査:赤沈亢進(>50mm/時)、CRP上昇
画像検査:CT、MRI、PET-CT、超音波で血管炎を確認
側頭動脈生検:巨細胞を伴う肉芽腫性炎症を確認
治療
第一選択:副腎皮質ステロイド(大量投与から漸減)
失明リスク時:ステロイドパルス療法を即開始
併用療法:低用量アスピリンで虚血予防
ステロイド抵抗例:IL-6受容体阻害薬(トシリズマブ)、メトトレキサートなど免疫抑制薬
予後と注意点
失明予防:早期治療で防止可能
大動脈瘤リスク:健常者の17倍(胸部)、2.5倍(腹部)
慢性経過:寛解と再燃を繰り返すため、長期の経過観察が必要
✅ まとめ
側頭動脈炎は 高齢者に多い血管炎で、失明や大動脈瘤を伴う危険性が高い。 診断が疑われたら 確定前でもステロイド治療を開始することが推奨 されます。
2025年11月20日 | カテゴリー:関節リウマチ リウマチ外来, 膠原病, 免疫疾患 |




