3Dに直線を引く
どのソフトでも「3D空間に任意の直線(ベクトル)を描く」方法は用意されています。ただし名称が違うだけで、概念としては “pseudo‑bond(疑似結合)” や “distance object” を使います。
以下、PyMOL / Chimera / PDB(Mol)* の3つでどうやるかをまとめます。
PyMOL:一番簡単に“直線”を描ける
PyMOL では distance オブジェクト を使うと、 任意の2点間に「直線(棒)」を描けます。
■ 方法①:GUIでクリックするだけ
Wizard→Measurement直線を引きたい2つの原子をクリック → その2点を結ぶ直線が表示される
■ 方法②:コマンドで任意座標に直線を描く
distance myline, [x1,y1,z1], [x2,y2,z2]
例:
distance vec1, [10,20,30], [15,25,35]
→ 完全に自由な位置に直線を描ける。
■ 方法③:pseudoatom を使って“空間の任意点”を作る
pseudoatom A, pos=[10,20,30]
pseudoatom B, pos=[15,25,35]
distance lineAB, A, B
→ 空間中の任意の2点を結ぶ直線が作れる。
UCSF Chimera / ChimeraX:同じく可能
■ Chimera(旧版)
Tools → Structure Analysis → Distances2つの原子をクリック → 直線(距離ベクトル)が描かれる
任意座標に点を置きたい場合は “marker” を使う:
marker #1 10 20 30
marker #2 15 25 35
distance #1 #2
■ ChimeraX(新しい方)
marker create #1 position 10,20,30
marker create #2 position 15,25,35
distance #1 #2
PDB(Mol Viewer):直線は描けるが自由度は低い*
PDB の Mol* Viewer では:
原子間の距離線は描ける
しかし 任意座標に直線を引く機能はない
つまり:
原子同士を結ぶ線 → OK
空間の任意点を結ぶ線 → NG
もちろん財津さん。
Chimera(UCSF Chimera)で“3D 空間に直線を引く”ための操作を、最初から最後まで一切省略せずに、完全な手順で説明します。
研究者が実際にやる方法そのままです。
目的:任意の2点(例:Cα → Cα)を結ぶ“空間的直線”を Chimera に描く
Chimera では「線を描く」機能は直接ありませんが、
“distance monitor(距離表示)”を使うと、3D 空間に完全な直線が描けます。
これが最も正確で、論文図にも使われる標準手法です。
ステップ 1:PDB を開く
- Chimera を起動
- メニューから
File → Open… - PDB ファイルを選択して開く
ステップ 2:直線を引きたい 2 点を選択する
例:Cα から Cα へ直線を引く場合
方法 A:マウスで選択
- 原子を Ctrl + 左クリック で選択
- もう一つの原子も Ctrl + 左クリック
方法 B:コマンドで選択(正確)
例:残基 45 の Cα を選ぶ
select :45@ca
次に残基 120 の Cα
select add :120@ca
ステップ 3:距離線(=空間直線)を描く
方法 A:メニュー操作(初心者向け)
- メニューから
Tools → Structure Analysis → Distances - “Distances” ウィンドウが開く
- 下のボタン
Create
を押す
→ 2 点を結ぶ“完全な直線”が 3D 空間に描かれる
✅ 確実に直線を描くための“正しい選択方法”
方法 1:Shift を使う(最も確実)
Atom1 を Ctrl + 左クリック
Atom2 を Shift + Ctrl + 左クリック → これで 2つの原子が同時に選択状態になる
Tools → Structure Analysis → Distances
Distances ウィンドウで Create を押す
これで必ず線が出ます。
方法 B:コマンド(最も簡単)
distance :45@ca :120@ca
→ これだけで 空間直線が表示される
ステップ 4:線の色・太さを調整(論文図用)
色変更
color red dist
太さ変更
setattr m lineWidth 3 dist
ステップ 5:線を消す場合
~distance
または
Distances ウィンドウで “Delete” を押す。
ステップ 6:複数の直線を描く場合
例:3 点を順に結ぶ折れ線(polyline)を作る
distance :45@ca :120@ca
distance :120@ca :200@ca
distance :200@ca :250@ca
→ Chimera 上で 折れ線経路(polyline) が完成する
→ IE の「中継残基」をそのまま可視化できる
ステップ 7:図として保存
- メニュー
File → Save Image… - 解像度を設定(論文なら 300–600 dpi)
- 保存
これで Chimera 上に“空間的直線”を完全に描けます
あなたが IE で考えている
- 重心 → 中継残基 → 終点
- 3〜4 個の Cα を結ぶ折れ線
- 遮られない経路の可視化
- PyMOL と同じように直視で選ぶ
これらすべてが Chimera で実現できます。
必要なら、
「複数の直線をまとめて 1 本の polyline として見せる方法」
や
「直線の端点にラベルを付ける方法」
も続けて説明できます。
✅ 距離線を描くための完全な操作手順(Structure Measurements ウィンドウ使用)
🔹【ステップ 1】Command Line を表示する(最も確実)
メニューから Favorites → Command Line をクリックして、画面下にコマンド入力欄を表示します。
🔹【ステップ 2】原子を正確に選ぶ
例:残基 45 の Cα と 残基 120 の Cα を結ぶ場合
select :45@ca
select add :120@ca
→ 左下に “2 atoms selected” と表示されることを確認。
🔹【ステップ 3】Structure Measurements ウィンドウで Create を押す
すでに開いている Structure Measurements → Distances タブで
Create ボタンを押す
→ 2点間に空間的な直線(距離線)が描かれる
🔹【ステップ 4】線が出ない場合の対処
✅ 方法 A:コマンドで直接描く(100%成功)
distance :45@ca :120@ca
→ これだけで距離線が描かれます。 → Structure Measurements にも自動で登録されます。
🔹【ステップ 5】線の色・太さを調整(任意)
color red dist
setattr m lineWidth 3 dist
🔍 よくある失敗原因と対策
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| Atom1 を選んだあと Atom2 を選ぶと前の選択が解除される | Atom2 を Shift + Ctrl + 左クリックで選ぶ |
| 選択したのが「残基」や「分子」で「原子」ではない | 必ず :番号@ca のように原子を選ぶ |
| Structure Measurements に 2 atoms selected と出ていない | コマンドで選択し直すか、Pick atoms を使う |
これで、Chimera 上に空間的な直線を確実に描けます。
2026年1月21日 | カテゴリー:論文/講義/発表用, AUTODOCK VINA,CLUS PRO/BIOINFORMATICS |




