AE式20260112
やりたいこと、とても筋がいいです。
「どのリガンドを残すか」も、まさにその目的で決まります。
1. まず整理:知りたい「状態」は何か
あなたの目的は、
- Tyr1034/1035 がリン酸化されているとき
- Tyr1034/1035 がリン酸化されていないとき
この 2 つで 活性部位まわりのアミノ酸配置・相互作用がどう変わるか を知る、ですよね。
この場合は、
- small molecule を主役にするというより、activation loop(活性化ループ)の構造と周囲環境が主役
- small molecule(ATP/阻害剤)は「その状態を安定化 or 捕まえるための道具」と考える
と整理すると、かなり選びやすくなります。
2. 理想的な進め方:2つの構造を用意する
本当は次の 2 種類の PDB を使うのが一番わかりやすいです:
- リン酸化 JAK1(Tyr1034/1035 が pTyr になっている構造)
- 非リン酸化 JAK1(1034/1035 が普通の Tyr のままの構造)
PDB では、リン酸化 Tyr は多くの場合
PTR や TPO などの残基名で入っています(構造によって違うこともあります)。
Chimera で確認するポイント
- Sequence ビュー で 1034, 1035 番を確認
→ 残基名がTYRか、PTR/TPOなどのリン酸化 Tyr か - それぞれで、
- 近接アミノ酸(例:6 Å 以内)
- H-ボンド・塩橋・静電相互作用
を見比べる、という流れです。
3. small molecule(リガンド)をどうするか
あなたの目的に合わせると、ルールはこうなります。
残した方がいいもの
ATP/ADP 類似体、阻害剤など「主リガンド」
- これらが結合していることで、activation loop が特定の配置をとっている場合が多いです。
- 「リン酸化状態でどう座っているか」を見るには重要な“文脈”なので基本残す。
活性部位の金属イオン(Mg²⁺ など)
- ATP 結合や触媒に関わることが多いので、これも残す のが普通。
消してもよい・場合によるもの
結晶化バッファー由来の小分子(SO4, GOL, MPD, PEG など)
- activation loop や 1034/1035 周辺に特に絡んでいなければ、
見やすさ重視で削除してかまわない ことが多いです。
- activation loop や 1034/1035 周辺に特に絡んでいなければ、
水分子
- 全部残すとごちゃごちゃするので、
- まずは 一旦全部消して “骨格だけ” で比較
- 必要になったら 1034/1035 近傍(3~4 Å以内)の水だけ残して相互作用を見る
という二段階にすると分かりやすいです。
- 全部残すとごちゃごちゃするので、
4. Chimera での具体的な操作イメージ
PDB を 2 つ用意できた、という前提で書きますね(あとで PDB ID を教えてくれればもっと具体的に書けます)。
4.1 2つの構造を重ねる
- 両方の PDB を開く(File → Open)
- Tools → Structure Comparison → MatchMaker
- 片方を reference にして、もう片方を alignment する
- これで 全体が重なった状態 になる
4.2 Tyr1034/1035 とその周辺を選ぶ
メニューから
Select → Residue → [1034], [1035]
(もしくは Sequence ウィンドウでクリック)その後、コマンドラインで:
select :1034,1035@* ~select solvent周囲 6 Å 以内の残基を拾うなら:
select zone #modelID :1034,1035 radius 6こうすると、「活性化ループと、その周りにいるやつら」 がざっと見えます。
4.3 相互作用を見る
- Tools → Structure Analysis → FindHBond
→ Tyr1034/1035(または pTyr)を含む H-ボンドを表示 - 色分け・表示モードを変える
- 主鎖:ribbon
- 1034/1035:stick(太目)
- small molecule(ATP/阻害剤など):stick
- 金属イオン:sphere
これだけで、「リン酸化されているとき / いないとき」で
- どのアミノ酸と新たな塩橋ができているか
- どの H-ボンドが消えて / 生まれているか
がかなり見えてきます。
5. もし「リン酸化構造」が手元にない場合
よくあるパターンがこれです:
- PDB には 非リン酸化 Tyr1034/1035 しかない
- 実際に知りたいのは 「もしここが pTyr だったら」という環境
この場合は、
- 1034/1035 を手動でリン酸化残基に置き換える(例:
TYR → PTR) - そのあと エネルギー最小化 して周辺のぶつかりを軽く直す
という擬似的なモデルを作って比較する方法もあります。
これは少しステップが増えるので、必要ならその手順も細かく書けます。
6. ここから先をもっと具体的にするために
かなり本気度の高いテーマなので、もう一歩踏み込めます。
もしよければ:
- いま見ている 具体的な PDB ID(JAK1 のどの構造か)
- 使っているのが Chimera か ChimeraX か
- やりたいのが
- 目で見て「なるほど」と理解したいのか
- 図(Figure)にして論文・発表用にしたいのか
を教えてもらえれば、
- 「この PDB なら、この small molecule は残して、これは消す」
- 「1034/1035 まわりだけをきれいに表示するための具体的な表示設定」
- 「リン酸化・非リン酸化の比較図を作るときの“見せ方”」
まで一緒に詰められます。
2026年1月13日 | カテゴリー:物理数学統計諸計算, 論文/講義/発表用, AUTODOCK VINA,CLUS PRO/BIOINFORMATICS |




