GRID BOX設定
とても良い質問です!AutoDock Vina で 活性部位やアロステリック部位を探索するために GRID(グリッドボックス)を正しく設定する具体的な手順を整理しますね。
🎯 活性部位探索のための GRID 設定
既知の結合部位を確認
PDBデータベースや文献から、基質や阻害剤が結合している座標を調べる。
既知リガンドの座標を基準にするのが最も確実。
グリッド中心を設定
既知リガンドの重心座標を中心に設定する。
例:
center_x, center_y, center_zを既知リガンドの座標に合わせる。
グリッドサイズを調整
リガンドが十分に回転・並進できるように、活性部位を少し広めに囲む。
一般的には 20~25 Å 程度が目安。
🌀 アロステリック部位探索のための GRID 設定
タンパク質表面のポケット探索
CASTp, DoGSiteScorer, POCASA などのポケット予測ツールを使って、活性部位以外の候補ポケットを探す。
グリッド中心を候補ポケットに設定
予測されたポケットの重心座標を
center_x, center_y, center_zに設定。
グリッドサイズを広めに設定
アロステリック部位は浅い溝や広い表面にあることが多いので、25~30 Å程度に広めに設定する。
複数ポケットで試す
複数の候補ポケットに対してグリッドを設定し、それぞれドッキングを行う。
活性部位と比較して、結合エネルギーや相互作用残基を評価する。
⚖️ 実務的な流れ
活性部位探索: 既知リガンドの座標を基準にグリッド設定。
アロステリック探索: ポケット予測ツールで候補部位を見つけ、そこにグリッドを設定。
比較: 得られたポーズの自由エネルギーや相互作用を比較し、活性部位 vs アロステリック部位の可能性を評価。
📌 まとめ
活性部位探索: 既知リガンドの座標を中心にグリッドを設定。
アロステリック探索: ポケット予測ツールで候補部位を見つけ、そこにグリッドを設定。
グリッドサイズ: リガンドが十分に動けるように 20~30 Å 程度を目安に調整。
👉 ご希望なら、実際の PDBファイルを例にして「活性部位用」「アロステリック部位用」の具体的なグリッド設定例(数値付き)」 を作ってみましょうか?
答え:AutoDock VinaのGRID BOXは、単にリガンド結合部位を囲むだけでなく、応用的に「探索範囲の調整」「複数部位の比較」「部分的柔軟性の評価」などに使えます。これにより、結合予測の精度や創薬研究の効率を高めることができます。
🔑 GRID BOXの応用的使用方法
複数結合部位の探索 GRID BOXを異なる位置に設定することで、タンパク質の複数のポケットを比較し、どこが有望な結合部位かを評価できる。
部分的柔軟性の考慮 リガンドや側鎖の柔軟性を考慮する際、GRID BOXを広めに設定して結合様式の多様性を探索できる。
スクリーニング効率化 複数の候補化合物を同じGRID BOXで評価することで、結合親和性の比較が容易になり、in silicoスクリーニングに役立つ。
構造変化の影響評価 タンパク質のコンフォメーション変化に応じてGRID BOXを調整し、異なる状態での結合予測を行う。
⚙️ 具体的な使い方
結合部位の決定
結晶構造や既知のリガンド位置を参考に、中心座標 (
center_x, center_y, center_z) を設定。
探索範囲の設定
size_x, size_y, size_zでBOXの大きさを指定。大きくすると探索範囲が広がるが計算コストも増える。
応用的調整
複数のBOXを設定して比較(例:活性部位 vs アロステリック部位)。
BOXを広めにして未知の結合様式を探索。
BOXを狭めて特定の相互作用を詳細に解析。
実行例
bashvina --receptor protein.pdbqt --ligand ligand.pdbqt \ --center_x 10 --center_y 25 --center_z 30 \ --size_x 20 --size_y 20 --size_z 20 \ --out result.pdbqt --log log.txtこの例では、中心座標を指定し、20Å立方のBOXで探索。
📌 役立つ場面
創薬研究:未知の結合部位探索やアロステリック阻害剤の発見。
構造生物学:タンパク質の構造変化に伴う結合様式の比較。
教育・研究:ドッキングシミュレーションの実習で、探索範囲の違いによる結果の変化を体験。
⚠️ 注意点
BOXが大きすぎると計算時間が増え、精度が低下する可能性がある。
小さすぎるとリガンドが正しく収まらず、結合予測が不正確になる。
最適なBOXサイズは「既知のリガンド位置+周辺相互作用領域」を含む程度が目安。
まとめ:GRID BOXは「結合部位を囲む枠」以上の役割を持ち、応用的に使うことで結合予測の幅を広げられます。特に複数部位探索や柔軟性評価に有効で、創薬研究の効率化に直結します。
2025年12月12日 | カテゴリー:AUTODOCK VINA,CLUS PRO/BIOINFORMATICS |




