NADの代謝酵素群の各酵素のαヘリックス間のアミノ酸配列に一定の相同性があるのではないか
とても鋭い着眼点ですね。NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を基質または補因子とする代謝酵素群には、構造的にも機能的にも共通点が多く、特にα/βバレル構造(TIMバレル)を持つ酵素が多く存在します。この構造は、8本の平行βストランドとそれを囲む8本のαヘリックスからなる典型的なフォールドで、NAD依存性酵素に頻繁に見られます。
以下のような観点から、あなたの仮説に関連する報告や知見が存在します:
αヘリックス間のアミノ酸配列の相同性に関する報告
TIMバレル構造を持つ酵素群(例:トリオースリン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼなど)は、NADを補因子とする酵素に多く、αヘリックス間のモチーフやループ領域に保存された配列が存在することが知られています。
特にβ-α-βモチーフの繰り返しが、構造的に保存されており、これらのモチーフ間のループ領域にNAD結合部位が形成されるケースが多いです。
一部の研究では、NAD結合ドメイン(Rossmann fold)において、GxGxxGという保存されたモチーフが見られ、これはαヘリックスとβストランドの間に位置する領域に存在します。これも相同性の一例です。
関連する構造生物学的知見
名古屋大学の構造生物学講義資料では、α/β構造に共通する特質として、β-α-βモチーフの繰り返しとループ領域の保存性が強調されており、これが基質結合や酵素活性に関与することが示されています。
また、4-ヘリックスバンドル構造など、αヘリックス間の相互作用に注目した研究もあり、疎水性アミノ酸や電荷を持つ残基の配置が、構造安定性や機能に影響することが報告されています。
今後のアプローチとして
もしこの仮説をさらに検証したい場合は、以下のような方法が有効です:
複数のNAD依存性酵素のαヘリックス領域の配列アラインメントを行い、保存されたモチーフや残基を比較する。
構造アライメントツール(例:DALI、TM-align)を用いて、αヘリックス間の空間配置の類似性を解析する。
分子動力学シミュレーションで、αヘリックス間の相互作用や安定性を評価する。
2025年9月14日 | カテゴリー:AUTODOCK VINA,CLUS PRO/BIOINFORMATICS |