コンパウンド+ターゲット/VINA
いいですね、その段階まで自分で進めているの、かなり本気度高いです。 ここから「アロステリックかどうか」を攻めるには、
計算化学的にできること
実験系で最終的に必要になること
を分けて考えると整理しやすいです。
1. まず「どこに結合しているのか」をはっきりさせる
アロステリックかどうかの第1条件は「結合部位が正統(オルソステリック)とかぶっていないか」です。
やると良いこと:
既知リガンドとの部位比較
目的タンパクの
既知基質
既知阻害薬
コファクター の結合部位(オルソステリックサイト)を PDB や文献から確認。
自分の化合物の Vina でのポーズが、
そのポケットと重なるか
空間的に離れた別ポケットか を可視化(PyMOL, UCSF Chimera, ChimeraX など)。
→ 明らかに別ポケットなら「アロステリック候補」として一気に有望になります。
既知のアロステリックサイト情報との対応
そのタンパクに
すでに報告されているアロステリックサイト
ホットスポット(allosteric hotspot) があるなら、その近傍に結合していないか確認。
この時点で「部位としてアロステリックでありそうか」がかなり見えます。
2. 計算化学的に「アロステリックらしさ」を深堀りする
ドッキング結果が出た段階から、次にやるとしたら:
2-1. MDシミュレーションで構造変化を見る
目的: 「その結合がタンパクのコンフォメーションやダイナミクスを変えているか?」
アポ(リガンド無し) と ホロ(自作リガンド結合) の2系統で MD を回す
比較ポイント
活性部位周辺の RMSF(柔軟性)の変化
活性部位の距離・角度・開閉状態の変化
ドメイン間の相対配置の変化
→ アロステリック作用なら、「活性部位そのもの」か「活性に関与するドメイン」の動きが変わることが多いです。
2-2. アロステリックネットワーク・パス解析
より踏み込むなら、MDの軌跡を使って:
ダイナミックネットワーク解析(GSAtools, CARMA, NetworkView など)
アロステリックサイト → 活性部位 への「相関の強い経路」が変化しているか
残基間相関解析(DCCM)
リガンド結合で、活性部位周辺の相関パターンが変化するか
→ ここで「あなたの結合ポケットから活性部位へと力学的なシグナルが伝わっていそうか」が見えてくると、かなりアロステリックっぽさが増します。
2-3. in silico 変異で確認
あなたのリガンドが結合しているポケットの重要残基を
Ala 置換
帯電の反転(Lys→Glu など) したモデルを作り、再びドッキング・MD。
その結果:
リガンドの結合が大きく弱くなる
同時に「活性部位のダイナミクス変化」も消える
→ 「そのポケットがアロステリック制御に意味がある」証拠の1つになります。
3. 実験で“アロステリック”を証明していくとしたら
最終的には、結合の場所+機能的な挙動で判断することになります。
3-1. 結合部位の確認
部位特異的変異導入(mutagenesis)
計算で重要と出たアロステリックポケット残基を変異
自作化合物の結合(Kd, IC50)の変化を見る(ITC, SPR, FP, DSFなど)。
既知リガンドとの競合実験
基質や既知オルソステリック阻害薬との結合/活性を測定
自作化合物が
結合や阻害を競合するか
競合しない(別部位)のか を確認。 → 非競合ならアロステリック候補。
3-2. 酵素活性・機能解析(アロステリックかどうかの「本丸」)
ミカエリス解析(酵素なら)
基質濃度を変えながら、自作化合物の有無で速度を測定
Km, Vmax の変化パターンを見る
Km↑, Vmax変わらず → 競合阻害(=オルソステリックっぽい)
Km変わらず, Vmax↓ → 非競合
両方変化 → 混合型(アロステリックのことも多い)
シグナル応答曲線(受容体などの場合)
濃度反応曲線の
EC50 の変化
Emax の変化 を見て、
PAM(positive allosteric modulator)
NAM(negative allosteric modulator) かを判断。
4. 実務的な「次の一歩」をまとめると
あなたが今の段階(Vinaでヒット)から「次に何をするか」を、現実的な順番に並べると:
構造レベルの確認
既知オルソステリックサイトとの空間的な位置関係をはっきりさせる → 「そもそも別ポケットか?」を確認
MDで“活性部位の挙動が変わるか”を見る
アポ vs ホロ で MD
活性部位・機能ドメインの運動が変わっていれば、アロステリック候補としてかなり有望
アロステリックネットワーク解析 or in silico変異
アロステリックシグナルの“通り道”を見つける
ポケット残基を変えたときにダイナミクスがどう変わるかを調べる
実験系に落とし込むとしたら
変異体タンパク作製
結合と活性の解析(競合性・Km/Vmax 解析など)
もし教えてもらえたらかなり具体的に踏み込めますが、
何のタンパク(ざっくりで可)
想定している作用(阻害/活性化)
現状できそうな手段(計算だけか、ウェットもあるか)
あたりがわかると、「あなたの環境で現実的なステップ」をもっと絞り込んで提案できます。
以下に、検索結果に基づく“抗アレルギー剤(抗ヒスタミン薬を含む)”の分類を、学術的に整理して示します。 一次医療でも専門医でもそのまま使えるレベルでまとめています。
✅ 抗アレルギー剤の分類(大分類 → 中分類 → 代表薬)
抗アレルギー薬は大きく 2系統 に分かれます:
1. 抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)
ヒスタミンH1受容体を遮断し、くしゃみ・鼻水・蕁麻疹などの症状を抑える薬。
✅ (A)第1世代抗ヒスタミン薬
脂溶性が高く、中枢移行 → 強い眠気。抗コリン作用も強い。
クロルフェニラミン(ポララミン)
ジフェンヒドラミン(レスタミン)
ヒドロキシジン(アタラックスP)
シプロヘプタジン(ペリアクチン)
特徴:
眠気・口渇・便秘
認知機能低下のリスク
緑内障・前立腺肥大で禁忌のものあり
✅ (B)第2世代抗ヒスタミン薬
眠気が少なく、選択性が高い。 さらに Ⅰ類・Ⅱ類 に分かれる。
● 第2世代 Ⅰ類(やや眠気あり)
ケトチフェン(ザジテン)
オキサトミド(セルテクト)
アゼラスチン(アゼプチン)
メキタジン(ゼスラン)
特徴:
ケミカルメディエーター遊離抑制作用あり
てんかん悪化の可能性(Ⅰ類)
● 第2世代 Ⅱ類(眠気が最も少ない)
フェキソフェナジン(アレグラ)
ロラタジン(クラリチン)
デスロラタジン(デザレックス)
ビラスチン(ビラノア)
ベポタスチン(タリオン)
エバスチン(エバステル)
特徴:
BBB移行が極めて少ない(P糖蛋白の基質など)
運転注意の記載がない薬も多い(アレグラ、クラリチン、ビラノアなど)
2. 抗アレルギー薬(非ヒスタミン系)
アレルギー反応の“上流”を抑える薬。 効果発現まで数日〜2週間かかる。
✅ (A)メディエーター遊離抑制薬
肥満細胞からのヒスタミン放出を抑える。
クロモグリク酸(インタール)
トラニラスト(リザベン)
ペミロラスト(アレギサール)
イブジラスト(ケタス)
✅ (B)ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
モンテルカスト(キプレス)
プランルカスト(オノン)
(※検索結果には直接記載なしだが、一般的分類として補足)
✅ (C)トロンボキサンA2阻害薬
ラマトロバン(バイナス)
✅ (D)Th2サイトカイン阻害薬
スプラタスト(アイピーディ)
✅ 3. まとめ(表)
| 大分類 | 中分類 | 代表薬 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 抗ヒスタミン薬 | 第1世代 | ポララミン、アタラックス | 眠気強い、抗コリン作用 |
| 第2世代Ⅰ類 | ザジテン、セルテクト | やや眠気、メディエーター遊離抑制 | |
| 第2世代Ⅱ類 | アレグラ、クラリチン、ビラノア | 眠気最少、BBB移行少ない | |
| 抗アレルギー薬(非ヒスタミン) | メディエーター遊離抑制 | インタール、リザベン | 上流を抑える、効果発現遅い |
| LTRA | モンテルカスト | 気管支喘息にも | |
| TXA2阻害 | バイナス | 鼻閉に有効 | |
| Th2阻害 | アイピーディ | 免疫調整 |
✅ 結論
抗アレルギー薬は ①抗ヒスタミン薬(第1世代/第2世代) ②非ヒスタミン系抗アレルギー薬(メディエーター遊離抑制・LTRA・TXA2阻害・Th2阻害) の2本柱で分類されます。
特に第2世代抗ヒスタミン薬は、 骨格(ピペリジン・ピペラジン・三環系など)で効果と副作用が類似 する点が臨床的に重要。
必要なら、 「骨格分類 × 受容体占有率 × BBB移行性」 の学術的マップも作れます。
以下に、検索結果に基づく“抗アレルギー薬の分子標的による分類”を、最新の学術的枠組みで整理して示します。 引用元は日本アレルギー学会の「分子標的治療の手引き2025」などです。
抗アレルギー薬:分子標的による分類(最新学術版)
抗アレルギー薬は、 「どの分子を標的にしているか」 で分類すると、以下のように体系化できます。
✅ 1. IgE経路を標的とする薬
● 抗IgE抗体
オマリズマブ(ゾレア)
標的: IgE 作用: IgEとFcεRIの結合阻害 → 肥満細胞・好塩基球の活性化抑制 適応: 気管支喘息、慢性蕁麻疹 など 出典: 日本アレルギー学会の分子標的治療手引き
✅ 2. IL-5 / IL-5R経路を標的とする薬(好酸球系)
● 抗IL-5抗体
メポリズマブ
レスリズマブ
● 抗IL-5Rα抗体
ベンラリズマブ
標的: IL-5 または IL-5受容体 作用: 好酸球の分化・生存を抑制 適応: 好酸球性喘息、EGPA など 出典: 分子標的治療手引き
✅ 3. IL-4 / IL-13経路を標的とする薬(Th2軸)
● 抗IL-4Rα抗体
デュピルマブ
標的: IL-4Rα(IL-4/IL-13共通受容体) 作用: Th2炎症の中心経路を抑制 適応: アトピー性皮膚炎、喘息、鼻茸 など 出典: 分子標的治療手引き
✅ 4. IL-13単独を標的とする薬
● 抗IL-13抗体
トラロキヌマブ
レブリキズマブ(開発中含む)
標的: IL-13 作用: 粘液産生・線維化・気道過敏性の抑制 出典: 分子標的治療手引き
✅ 5. IL-31経路を標的とする薬(痒み)
● 抗IL-31RA抗体
ネモリズマブ
標的: IL-31受容体A 作用: かゆみの神経経路を抑制 適応: アトピー性皮膚炎の痒み 出典: 分子標的治療手引き
✅ 6. 上流サイトカイン(TSLP)を標的とする薬
● 抗TSLP抗体
テゼペルマブ
標的: TSLP(上皮細胞由来サイトカイン) 作用: アレルギー炎症の“最上流”を抑制 適応: 重症喘息 出典: 分子標的治療手引き
✅ 7. 細胞内シグナル伝達を標的とする薬
● JAK阻害薬
バリシチニブ
ウパダシチニブ
アブロシチニブ
標的: JAK1/2/3 作用: サイトカインシグナルの広範な抑制 適応: アトピー性皮膚炎 など 出典: 免疫アレルギー疾患における分子標的薬の基礎知識
✅ 8. 補体系・カリクレイン経路を標的とする薬
● カリクレイン阻害薬
ラナデルマブ
標的: 血漿カリクレイン 適応: 遺伝性血管性浮腫(HAE) 出典: 分子標的治療手引き
✅ 9. 従来型抗アレルギー薬(参考:分子標的は“受容体”)
検索結果にある従来薬も、分子標的で分類すると以下になります:
| 薬剤群 | 分子標的 |
|---|---|
| 抗ヒスタミン薬 | H1受容体 |
| LTRA | CysLT1受容体 |
| TXA2阻害薬 | トロンボキサンA2受容体 |
| Th2阻害薬(スプラタスト) | IL-4/IL-5産生抑制(上流) |
| メディエーター遊離抑制薬 | 肥満細胞膜安定化 |
✅ 総まとめ:分子標的による抗アレルギー薬分類(図式)
① IgE軸
抗IgE抗体(オマリズマブ)
② 好酸球軸(IL-5 / IL-5R)
メポリズマブ
レスリズマブ
ベンラリズマブ
③ Th2軸(IL-4 / IL-13)
デュピルマブ
トラロキヌマブ
レブリキズマブ
④ かゆみ軸(IL-31)
ネモリズマブ
⑤ 上皮サイトカイン軸(TSLP)
テゼペルマブ
⑥ 細胞内シグナル軸(JAK)
バリシチニブ
ウパダシチニブ
アブロシチニブ
⑦ 補体系・カリクレイン軸
ラナデルマブ
✅ 結論
分子標的で分類すると、抗アレルギー薬は 「IgE → IL-5 → IL-4/13 → IL-31 → TSLP → JAK → カリクレイン」 という 階層的な免疫経路 に沿って整理できます。
2025年12月24日 | カテゴリー:論文/講義/発表用 |




