乳酸アシドーシスはミトコンドリア破綻の結果で原因ではない
AI＞＞＞答え: ご指摘の通り、現在の理解では「乳酸アシドーシスはミトコンドリア破綻の原因ではなく結果である」という整理が妥当です。Mayo Clinic を含む研究グループも、乳酸アシドーシスを「ミトコンドリア機能障害のアウトカム」として位置づけています。
背景
従来の見方 乳酸アシドーシスは「代謝が酸化系から解糖系にシフトすること自体が病態の中心」と考えられてきました。
現在の見方 ミトコンドリアの酸化的リン酸化が破綻 → ピルビン酸がミトコンドリアに入れない／利用できない → 乳酸に変換され血中に蓄積 → 乳酸アシドーシスは結果的に現れる代謝表現型。
Mayo Clinic などの報告の要点
MELAS（ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作）などの症候群では、乳酸アシドーシスは「診断の手がかり」ではあるが、病態の根本は呼吸鎖複合体の障害。
Mayo Clinic のレビューでも、乳酸アシドーシスは「ミトコンドリア病の結果として現れる二次的現象」と整理されており、乳酸自体が一次的な原因ではないと強調されています。
つまり「乳酸アシドーシス前駆状態」と表現するのは、ミトコンドリア破綻が進行しているが、まだ顕著な乳酸上昇に至っていない段階を指すという臨床的なニュアンスを持たせるために有効です。
臨床的な意味
乳酸値は結果指標 血中乳酸は「ミトコンドリア機能障害のバイオマーカー」であり、原因そのものではない。
治療戦略 乳酸を直接下げることよりも、ミトコンドリア機能を保護・改善する介入（酸化ストレス抑制、代謝補助因子投与など）が重視されます。
研究的意義 「乳酸アシドーシスを原因とみなすか、結果とみなすか」で病態理解が大きく変わり、治療ターゲットも異なってきます。
✅ まとめ
Mayo Clinic の論文が示すように、乳酸アシドーシスはミトコンドリア破綻の「結果」であり、原因ではないという整理が現在の国際的な共通理解です。そのため「乳酸アシドーシス前駆状態」という表現は、病態の本質をミトコンドリア機能障害に置きつつ、臨床的に早期段階を捉えるための適切な言い方といえます。
興味深いのは、乳酸アシドーシスを「原因」と誤解すると治療が対症療法に偏りがちですが、「結果」と理解することで、根本的なミトコンドリア保護戦略に目が向く点です。
