体内における窒素
人間にとって窒素は不可欠な元素ですが、呼吸で吸収する窒素ガス(N₂)は直接利用されません。体内で必要な窒素は主に タンパク質や核酸(DNA・RNA) の構成要素として利用されます。食事から摂取したタンパク質が アミノ酸 に分解され、それらをもとに体内のタンパク質が合成されることで窒素が活用されます。
必要な窒素の形態
窒素は以下のような形で体内に存在し、重要な役割を果たします:
アミノ酸(タンパク質の構成成分)
核酸(DNA・RNAの構成成分)
ATP(アデノシン三リン酸)(細胞のエネルギー源)
ヘモグロビン(酸素運搬に関与)
神経伝達物質(例:ドーパミンやセロトニン)
また、体内では 一酸化窒素(NO) も重要な役割を持ちます。NOは 血管拡張作用 を持ち、血流を調節したり、神経伝達や免疫機能に関わっています。
窒素の必要量
人間の窒素必要量は タンパク質摂取量 によって決まります。成人の推奨摂取量は 1日に体重1kgあたり約0.8gのタンパク質(例:体重60kgの場合は約48g)が目安です。これは食事から摂取し、体内で分解・再利用されます。
窒素は単独で摂取するのではなく、食品を通じて適切な形で取り入れる必要があります。健康維持のためにも、バランスの取れた食事を心がけることが重要
生化学における 窒素固定 とは、大気中の窒素ガス(N₂)を生物が利用可能な形(例えばアンモニア NH₃)に変換するプロセスのことを指します。これは生態系において非常に重要な役割を果たします。
窒素固定の仕組み
窒素は地球の大気中に豊富に存在しますが、そのままでは多くの生物が利用できません。そこで、特定の微生物が 窒素固定 を行い、窒素を作物や他の生物が使える形に変えます。
主な窒素固定の方法
生物的窒素固定(微生物による窒素変換)
根粒菌(例:リゾビウム属)などの細菌が植物(主にマメ科)と共生し、大気中の窒素をアンモニアに変換します。
シアノバクテリア(藍藻)などの自由生活性の微生物も窒素固定を行います。
非生物的窒素固定(工業的・自然的プロセス)
ハーバー・ボッシュ法 による工業的窒素固定:化学反応を利用してアンモニアを合成し、肥料として使用。
雷のエネルギーによる窒素酸化物の生成(自然界のプロセス)。
なぜ重要なのか?
窒素固定は、土壌の窒素供給を増やし、作物の成長を促す役割を果たします。農業では マメ科植物の輪作 を活用し、土壌の窒素を自然に補給する工夫がされています。
このプロセスによって、生態系全体の窒素循環が維持され、多くの生物が必要な栄養素を得られる
窒素固定は窒素サイクル反応系の一つである
蛋白、アミノ酸、核酸、プリン、ピリミジン、ポルフィリン、アルカロイド、ビタミンなどは窒素を含む
これらは窒素サイクルで流転している
窒素サイクルの中間体には数種の無機窒素化合物、多くの有機窒素化合物がある
N2ガス NH3 硝酸イオン 亜硝酸イオン ヒドロキシルアミン などがあり種々の酸化状態をとる
硝酸イオンでは酸化数が+5
亜硝酸イオンでは+3
次亜硝酸イオンでは+1
窒素ガスでは0
ヒドロキシアミンではー1
アンモニアではー3 である
生物によらない窒素固定:N2+3H2>>>2NH3+ΔG(ー8kcal/mol) で450度と200気圧が必要
生物による窒素固定は25度1気圧でたりる
体内では、アミノ酸の分解などさまざまな代謝過程でアンモニアが生成されます。
アンモニアは毒性が強いため、肝臓が主に尿素回路(オルニチン回路)を使って尿素に変換し、体外に安全に排出します。
一方で、尿酸は主にプリン体の代謝から生成されます。この過程はアンモニアとは直接関係しませんが、
最終的に尿として排泄されるという点では似た役割を果たしていると言えます