アルダクトンについて
9.8 高齢者
次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察し
ながら慎重に投与すること。
9.8.1 急激な利尿は血漿量の減少を来し、脱水、低血圧等による立ち
くらみ、めまい、失神等を起こすことがある。
9.8.2 心疾患がある又は心疾患等で浮腫がある場合は急激な利尿は急
速な血漿量の減少と血液濃縮を来し、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発
するおそれがある。
9.8.3 一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起
こるおそれがある。
9.8.4 腎機能又肝機能が低下していることが多いため、高カリウム血
症があらわれやすい。
10. 相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
タクロリムス
(プログラフ)
エプレレノン
(セララ)
エサキセレノン
(ミネブロ)
[2.4参照]
高カリウム血症が発現する
ことがある。
相加・相乗作用により血清カ
リウム値が上昇する。
ミトタン
(オペプリム)
[2.4参照]
ミトタンの作用を阻害する。 ミトタンの薬効を本剤が阻
害するとの報告がある。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
降圧剤
ACE阻害剤
カルシウム拮抗剤
β-遮断剤
利尿降圧剤等
降圧作用を増強することが
あるので、用量を調節するな
ど注意する。
これらの薬剤と本剤の相加・
相乗作用
カリウム製剤
塩化カリウム
グルコン酸カリウム
アスパラギン酸カリウム
等
ACE阻害剤
カプトプリル
エナラプリル
リシノプリル等
アンジオテンシンⅡ受容体
拮抗剤
ロサルタンカリウム
カンデサルタンシレキセ
チル
バルサルタン等
アリスキレン
カリウム保持性利尿剤
トリアムテレン
カンレノ酸カリウム
シクロスポリン
ボクロスポリン
ドロスピレノン
高カリウム血症を誘発する
ことがあるので、血清カリウ
ム値を観察するなど十分注
意する。
これらの薬剤と本剤の相加・
相乗作用による血清カリウ
ム値の上昇。
危険因子:腎障害患者、高齢
者
フィネレノン 血清カリウム値上昇及び高
カリウム血症が発現する危
険性が増大するおそれがあ
るので、治療上必要と判断さ
れる場合にのみ併用するこ
と。併用する場合には、血清
カリウム値をより頻回に測
定するなど患者の状態を慎
重に観察すること。
ノルエピネフリン ノルエピネフリンの血管反
応性を低下させるとの報告
がある。
本剤が心血管反応性を低下
させる機序は完全には解明
されていない。
危険因子:麻酔施行患者
乳酸ナトリウム 乳酸ナトリウムのアルカリ
化作用を減弱することがあ
る。
本剤により高カリウム性ア
シドーシスが惹起され、乳酸
ナトリウムのアルカリ化作
用と拮抗する可能性がある。
塩化アンモニウム
コレスチラミン
代謝性アシドーシスを来す
との報告がある。
これらの薬剤と本剤の相加・
相乗作用
ジゴキシン
メチルジゴキシン
血中ジゴキシン及びメチル
ジゴキシン濃度が上昇する
ことがある。
本剤がジゴキシン及びメチ
ルジゴキシンの腎からの排
泄を低下させるため、血中ジ
ゴキシン及びメチルジゴキ
シン濃度を上昇させること
がある。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ジギトキシン ジギトキシンの作用を増強
又は減弱するおそれがある
ので、併用する場合にはジギ
トキシンの血中濃度の測定
を行うなど、観察を十分に行
い慎重に投与すること。1,2)
本剤の肝酵素誘導によりジ
ギトキシンの血中濃度半減
期が短縮すると考えられる
報告がある。また、機序は不
明であるが、ジギトキシンの
血中濃度半減期が延長した
との報告がある。
リチウム製剤
炭酸リチウム
利尿剤又はACE阻害剤との併
用により、リチウム中毒を起
こすことが報告されている
ので、血中リチウム濃度に注
意すること。
ナトリウムイオン不足はリ
チウムイオンの貯留を促進
するといわれているため、ナ
トリウム排泄を促進するこ
とにより起こると考えられ
る。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
インドメタシン等
カリウム保持性利尿剤との
併用により、その降圧作用の
減弱、腎機能障害患者におけ
る重度の高カリウム血症の
発現が報告されている。
プロスタグランジン産生が
抑制されることによって、ナ
トリウム貯留作用による降
圧作用の減弱、カリウム貯留
作用による血清カリウム値
の上昇が起こると考えられ
る。
危険因子:腎機能障害
11. 副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常
が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1 重大な副作用
11.1.1 電解質異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アシ
ドーシス等)(頻度不明)
電解質異常に伴い、不整脈、全身倦怠感、脱力等があらわれること
がある。[2.2、8.1、9.1.2、9.7参照]
11.1.2 急性腎不全(頻度不明)
急性腎不全(電解質異常を伴うことがある)があらわれることがあ
る。[2.1、9.2.1参照]
11.1.3 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
11.2 その他の副作用
0.1~5%未満a) 頻度不明
内分泌 女性型乳房b)、乳房腫脹、性欲減退、
陰萎、多毛、月経不順、無月経、閉
経後の出血、音声低音化
乳房腫瘤、乳房痛
過敏症 発疹、蕁麻疹 そう痒
精神神経系 眩暈、頭痛、四肢しびれ感、神経過
敏、うつ状態、不安感、精神錯乱、
運動失調、傾眠
肝臓 AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、AlP上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇
腎臓 BUN上昇
消化器 食欲不振、悪心・嘔吐、口渇、下痢、
便秘
血液 白血球減少、血小板減少
その他 倦怠感、心悸亢進、発熱、肝斑 筋痙攣、脱毛
a)本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻
度について文献、自発報告等を参考に集計した。
b)減量又は中止によって通常減退ないしは消失するが、まれに持続する例もみられる。
13. 過量投与
13.1 症状
本剤の過量投与により悪心、嘔吐、傾眠状態、精神錯乱、斑状丘疹、
紅斑、下痢、電解質失調、脱水を起こす可能性がある。
13.2 処置
本剤の投与を中止し、食事を含むカリウムの摂取を制限すること。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導するこ
と。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更に
は穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
2025年5月5日 | カテゴリー:各種治療学, 高血圧, 循環器, 内分泌疾患・ホルモン異常 |