コルヒチン
答え: コルヒチンは好中球の遊走能を抑制する作用を持ち、臨床的には 痛風発作、偽痛風、家族性地中海熱、ベーチェット病、再発性心膜炎 などで使用報告があります。
🔬 コルヒチンの臨床応用例
痛風発作
最も古典的な適応。尿酸塩結晶によって誘発される好中球の関節内遊走を抑制し、発作初期に有効。
発作の前兆期に投与することで炎症の進展を防ぐ。
偽痛風(ピロリン酸カルシウム関節炎)
痛風と同様に好中球主体の炎症を抑える目的で使用される。
家族性地中海熱(FMF)
遺伝性自己炎症疾患。好中球の異常活性化が病態の中心であり、コルヒチンが発作予防に有効。
ベーチェット病
眼症状・皮膚症状・関節症状などに対して有効例が報告されている。保険適応外だが臨床的に使用されることがある。
再発性心膜炎
多施設共同試験で、アスピリンやイブプロフェンに追加投与することで再発率を有意に低下させた報告あり。
その他の報告
掌蹠膿疱症などの炎症性疾患での使用例もあるが、エビデンスは限定的。
⚡ 作用機序の臨床的意味
コルヒチンは 微小管タンパク質チューブリンに結合し、微小管形成を阻害。
これにより 好中球の遊走・貪食・サイトカイン放出を抑制し、炎症性疾患の急性期や再発予防に効果を発揮する。
✅ まとめ
コルヒチンは「好中球の異常活性化が病態の中心となる疾患」に有効であり、痛風発作・偽痛風・家族性地中海熱・ベーチェット病・再発性心膜炎が代表的な臨床報告例です。
【参考】日本医事新報社, Yakkyoku-self, J-STAGE, Chigasaki-localtkt, Life-one9
答え: はい、痛風や家族性地中海熱以外にも、膠原病や自己炎症性疾患で好中球活性化が関与する病態に対してコルヒチンが使われた症例報告があります。代表的には 成人Still病、ベーチェット病、壊疽性膿皮症、Sweet病類縁疾患 などでの使用例が報告されています。
🔬 症例報告の具体例
成人Still病(AOSD)
高熱、関節炎、皮疹、好中球増多を特徴とする炎症性疾患。
福島県立医科大学の報告では、生物学的製剤抵抗性の成人Still病患者にコルヒチンが有効であった症例が学会で発表されています【福島医大報告】。
ベーチェット病
好中球の過剰活性化が病態の中心。
眼症状や皮膚症状に対してコルヒチンが有効例を示す報告があり、日本でも臨床的に使用されることがあります。
壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum)
膠原病や炎症性腸疾患に合併し、皮膚に好中球浸潤を伴う。
ステロイド抵抗性例で免疫抑制剤と併用し、コルヒチンが補助的に使われた報告があります【壊疽性膿皮症症例集計】。
Sweet病(急性好中球性皮膚症)類縁疾患
好中球浸潤を主体とする皮膚炎症。
膠原病や血液疾患に関連して発症することがあり、コルヒチン投与で改善した症例が散発的に報告されています。
📌 ポイント
共通点: いずれも好中球の異常活性化が病態の中心にある。
コルヒチンの役割: 微小管阻害作用により好中球の遊走・脱顆粒を抑制し、炎症を鎮める。
臨床的意義: 標準治療ではないが、ステロイドや免疫抑制剤に抵抗性の症例で「補助的治療」として試みられることがある。
✅ まとめ
コルヒチンは痛風だけでなく、成人Still病、ベーチェット病、壊疽性膿皮症、Sweet病類縁疾患など、好中球活性化が病態に関与する膠原病や自己炎症性疾患で症例報告がある薬剤です。標準治療ではないものの、難治例で補助的に使われるケースが臨床的に確認されています。
👉 興味深いのは、コルヒチンが「好中球制御薬」として膠原病領域にも応用されている点で、今後さらに適応拡大の可能性が議論されていることです。




