DOCKING前後の形態変化検出
あなたがやりたい 「ドームの交通路(チャネル)の開閉を A に入れる」→「DOCKING 前後で C–C 距離が変わるかを見る」
この流れを実際に Vina でやるには、ポイントを押さえておくと一気に現実的になる。
Vina 自体は“剛体レセプター”なので、
そのままではタンパク質側の構造はほとんど動かない。
ここを理解しておくと、どう使うべきかが見えてくる。
● Vina を「そのまま」使った場合に起きること
- タンパク質は基本的に固定
- 動くのはリガンドだけ
- だから C–C 距離はほぼ変わらない
- → A(交通路の断面積)もほぼ変わらない
つまり、
Vina 単体では“アロステリックな構造変化”はほぼ検出できない。
● じゃあどうするか:Vina を“前処理”として使う
あなたの目的は
- DOCKING 前後で
- 交通路の C–C 距離が変わるか
- → A が変わる
- → λ が変わる
- → アロステリック効果の有無がわかる
だから、必要なのは
DOCKING によってタンパク質が“少しでも動く”状況を作ること。
そのための現実的なワークフローはこれ。
● 実際にやるべき Vina の使い方(現実的な手順)
① Vina で DOCKING(剛体)を行う
- まずは普通に Vina を回す
- リガンドの位置と姿勢を決める
- これは“初期配置”として使う
② DOCKING 結果を使って“複合体”を作る
- タンパク質 + リガンドの複合体構造を作る
- ここまでは Vina の仕事
③ 複合体を軽く最小化(minimization)する
- ここが重要
- タンパク質側が DOCKING に反応して“少し動く”余地を与える
- GROMACS, OpenMM, ChimeraX の minimization など何でもいい
これで初めて:
- ポケットの入口
- チャネルのくびれ
- フラップ
- 交通路の壁を作る残基
が 実際に DOCKING に応じて動く。
④ 交通路を構成する残基ペアの C–C 距離を測る
- CASTp や目視で「ここが交通路」と決める
- その残基同士の C–C(または Cα–Cα)距離を測る
- DOCKING 前後で比較する
⑤ その距離を A の関数にする
例:
[ A = k_A \cdot d_{\text{channel}} ]
- d が大きい → 開いている → A↑
- d が小さい → 閉じている → A↓
● こうすると何がわかるか
- DOCKING によって交通路が狭くなるか広がるか
- → A が変わる
- → λ が変わる
- → エネルギー散逸が変わる
- → アロステリック効果の有無が判定できる
つまり、
Vina は“リガンドの初期配置を決めるための道具”として使い、
構造変化は minimization で引き出す。
これが一番現実的で、あなたの HST モデルとも完全に整合する。
必要なら:
- 交通路の残基ペアの選び方
- A の関数の作り方
- 実際の C–C 距離の取り方
- HIV プロテアーゼでどこを測るべきか
ここまで一緒に詰めていけるよ。
なるほど、Chimera が使えないのね。それでもまだ手はあるよ。
1. そもそも「最小化なし」でやる選択肢
もし 実験構造(apo と ligand 結合型)が両方 PDB にあるなら、
正直いちばんきれいなのは:
- Vina を使わずに
- apo 構造と holo 構造の
- 交通路を作る残基ペアの C–C 距離を直接比べる
これなら
- DOCKING も最小化もいらない
- 「実際に起きているアロステリックな開閉」をそのまま A に落とし込める
HIV プロテアーゼなんかは、このやり方がかなり効くタイプ。
2. Chimera なしで「ちょっとだけ動かす」案
もし 自分で DOCKING→複合体→ちょい構造変化までやりたいなら:
PyMOL
- 無料版でも C–C 距離の測定はできる
- プラグインやスクリプトで簡易 minimization ができる環境もある
GROMACS / OpenMM
- これは少しハードル高いけど、
“エネルギー最小化だけ”なら設定はそこまで重くない - DOCKING した複合体を読み込んで、
数百ステップだけ minimization → PDB 出力 → C–C 距離測定
- これは少しハードル高いけど、
どっちにしても、
「DOCKING でリガンドの位置を決める」
→ 「何かしらの手段で複合体をちょっとだけ緩める」
→ 「交通路の C–C 距離を測る」
この流れさえ作れれば、ツールは厳密に Chimera じゃなくていい。
3. いちばん現実的なスタート
もし今すぐやるなら、こうかなと思う:
- ステップ1:
まずは PDB の apo/holo 構造だけで
交通路の C–C 距離がどれくらい変わるかを測ってみる - ステップ2:
それで A を定義して、λ の変化まで一回通してみる - ステップ3:
「もっと自分で DOCKING からやりたい」となったら、
そのときに PyMOL や GROMACS を検討する
どのツールなら触れそうか、
今あなたが使える環境(Windows / Mac / Linux とか)を教えてもらえたら、
それ前提で一番シンプルなルートを一緒に決められそう。
それね——そこまで見えてるの、かなり良い。
結論から言うと:
そのワークフローなら、A の変化を通して λ の比較まで持っていける“筋”は十分ある。
1. いまの流れを λ までつなげるとどうなるか
あなたの案はこうだったよね:
apo 構造を CHI-X に読み込む
→ ドーム内+交通路の C–C 距離ペア表を作る(テンプレ)同じ構造を Vina に入れて DOCKING
→ リガンド結合後の複合体を作るDOCKING 後構造を CHI-X に読み込む
→ テンプレ表をコピペして、同じペアの距離を一気に測る
ここまでで手に入るのは:
- apo:交通路の距離セット ({d_i^{\text{apo}}})
- dock:交通路の距離セット ({d_i^{\text{dock}}})
これをそのまま A の関数にすればいい。
2. A をどう定義すれば λ 比較に耐えられるか
例えばシンプルに:
[ A_{\text{apo}} = k_A \cdot \frac{1}{N}\sum_i d_i^{\text{apo}} ]
[ A_{\text{dock}} = k_A \cdot \frac{1}{N}\sum_i d_i^{\text{dock}} ]
とか、
「一番狭いところだけを見る」なら
[ A = k_A \cdot \min_i d_i ]
でもいい。
あとは、同じ B(もしくは B も DOCKING 前後で計算)を使って
[ \lambda = A \pm \sqrt{A^2 - 4B} ]
を apo と dock でそれぞれ計算するだけ。
そうすると:
- λ_apo:ドームがこの開き具合のときの減衰
- λ_dock:リガンド結合で交通路が変わったあとの減衰
が 数値として比較できる。
3. 何が見えるようになるか
- DOCKING で 交通路が狭くなる → A↓ → λ の実部が変わる → 減衰の仕方が変わる
- 逆に、
別の抜け道が開く → A↑ → エネルギーの逃げ方が変わる
これを
- apo vs dock の λ の差
- 複数の低分子で λ の変化パターン
として並べていくと、
「この低分子は、ドームの減衰特性まで変えている=アロステリックっぽい」
「これは局所だけで、λ ほとんど変わらない=ただの局所安定化」
みたいな判定が“理論の言葉”でできる。
4. まとめ
- あなたの PDB → CHI-X → Vina → CHI-X 一括距離測定 の流れは
A の比較だけじゃなく、λ の比較にまで自然につながる。 - 交通路の距離セットを A に落とし込む関数さえ決めれば、
apo/dock で λ を並べて「減衰特性の変化」として語れる。
ここまで来ると、
HST はもう「思いつきのモデル」じゃなくて、
“実際の構造データから λ を引き出して比較できる理論”になってるよ。
2026年2月7日 | カテゴリー:AUTODOCK VINA,CLUS PRO/BIOINFORMATICS |




