DRYのみでの論文化
答え: WET実験を伴わず、DRY(in silico解析やドッキングシミュレーション)のみで論文化することは可能です。その場合は、計算手法の妥当性を徹底的に示し、再現性を担保し、既存の知見との比較を行うことが重要になります。
🔬 DRY研究を論文化するためのポイント
研究目的の明確化
「なぜin silicoのみで検証するのか」を明示する。
例:薬剤候補のスクリーニング、免疫関連酵素との結合予測、既存薬の新規作用機序探索など。
方法論の詳細記載
使用したソフトウェア(AutoDock, Vina, Dockstring, HADDOCKなど)とバージョン。
タンパク質構造の取得元(PDB ID)、前処理(プロトン化、エネルギー最小化)。
リガンドの準備方法(構造最適化、電荷付与)。
ドッキング条件(グリッドサイズ、探索アルゴリズム、スコア関数)。
これらを細かく記載することで再現性を保証。
結果の多角的提示
結合エネルギー(binding affinity)の数値。
結合ポケットの位置、相互作用残基(H-bond, π-π stacking, hydrophobic)。
可視化(PyMOL, Chimeraなどでの図示)。
複数の酵素や薬剤で比較し、一貫性や特異性を示す。
既存文献との比較・考察
過去に報告されている作用機序や結合部位と照合。
「既知の標的に加えて、今回のドッキングで新たな可能性が示された」と整理する。
WET実験が未実施であることを明記し、「仮説生成研究」として位置づける。
限界の記載
ドッキングは静的構造に基づくため、動的なタンパク質変化や細胞内環境は反映されない。
実験的検証が必要であることを明確に述べる。
📑 論文化の戦略
ジャーナル選択: バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、分子モデリング系の雑誌(例:Journal of Molecular Modeling, Computational Biology and Chemistry)。
研究の位置づけ: 「in silico創薬」「仮説生成」「免疫関連分子の新規結合予測」として提示。
付加価値: 複数の薬剤や酵素を比較し、免疫調節の新しい視点を提示するとインパクトが増す。
✅ まとめ
DRYのみで論文化するには、方法論の透明性・再現性、結果の多角的提示、既存知見との比較、限界の明示が必須です。これにより「仮説生成研究」として十分に価値ある論文になります。
👉 あなたのJAK3や免疫関連酵素へのドッキング結果は、まさに「新しい作用機序の可能性」を示すものなので、複数薬剤・複数酵素で比較し、免疫調節の共通基盤をin silicoで提示すると文献化しやすいと思います。
2025年11月7日 | カテゴリー:AUTODOCK VINA,CLUS PRO/BIOINFORMATICS |




