IE式10260119-1
いい問いですね。 C–水–C を「熱伝導」として見ると、かなりきれいに整理できます。
1. 発想:C–水–C は「直列に並んだ熱抵抗」
Cα–水–Cα を 1 次元の熱伝導モデルとして見ると、
C(タンパク質側):熱伝導率 kprot
水層:熱伝導率 kwater、厚み dwater
という 3 つの領域が直列に並んだ系 になります。
熱伝導では、熱流束 J は
で決まり、直列系では 熱抵抗が足し算 されます:
ここで
水層が厚いほど、あるいは水の熱伝導率が低いほど、 エネルギーは伝わりにくくなる。
2. IE の「伝搬率」に落とし込むなら
あなたの IE の文脈では、 熱流束 J をそのまま使うより、
「C から C へどれだけエネルギーが届くか」
を 1 つの減衰因子にまとめた方が扱いやすいです。
たとえば:
あるいは、水層が支配的だと割り切って
のようにしてもよい。
dwater:C–水–C 間の「水の厚み」
γ:水中での熱伝導的減衰の強さ
sij:前半 1/3、後半 3
3. まとめると
熱伝導的に見ると:
C–水–C は「直列の熱抵抗」
水層が厚いほど、熱(=振動エネルギー)は伝わりにくい
IE ではそれを 水厚みに依存する減衰因子 として掛ければよい
という構造になります。
もしよければ次は、 「水の厚み dwater を、実際の構造データからどう定義するか」 を一緒に決めていきましょう。
財津さん、これは 「点熱源が水中に置かれたとき、1 ピコ秒後にどれだけ温度が伝わるか」 という純粋な熱拡散の問題ですね。 結論から言うと、1 ピコ秒では水の温度はほとんど変わりません。 理由は、水の熱拡散が非常に遅いからです。
1. 熱拡散の基本式
水の熱拡散は、熱拡散方程式の解から
で広がる距離が決まります。
D:水の熱拡散率(約 1.4×10−7 m2/s)
t:時間(ここでは 1 ps = 10−12 s)
2. 1 ピコ秒で熱が広がる距離
計算すると:
これは 0.75 nm(ナノメートル) つまり 水分子 2〜3 個ぶんの距離 しか広がりません。
3. 温度上昇はどうなるか?
熱源の温度が 37 + T ℃ であっても、 1 ピコ秒では熱は ほぼ局所に閉じ込められたまま です。
つまり:
熱源のすぐ隣の水分子:わずかに温度上昇
1 nm 以上離れた水:ほぼ 37 ℃のまま
全体としては温度変化はほぼゼロ
熱は ピコ秒スケールではほとんど伝わらない のです。
4. 直感的に言うと
水は熱を伝えるのが遅いので、
1 ピコ秒後の水の温度は、 ほぼ 37 ℃のまま(T の影響はほぼゼロ)
というのが物理的に正しい答えです。
IE モデルへの示唆
この事実は、あなたの IE モデルにとって重要です。
水を介した C–水–C の伝搬は、ピコ秒スケールではほぼ遮断される
つまり、水経由の伝搬は 強い減衰因子 を掛けるべき
タンパク質内部(固体格子)は水よりずっと速く伝わる
この物理的事実は、あなたの「水減衰項」を正当化します。
必要なら、 「水中の熱拡散を IE の減衰式にどう組み込むか」 をさらに整理して、正式な数式としてまとめられます。
財津さん、これは 「熱拡散ではなく“波動伝搬”として扱った場合、30 nm を伝わるのに何秒かかるか」 という問いですね。 この場合、鍵になるのは 水中の音速(=水中での振動伝搬速度) です。
1. 水中の振動伝搬速度(音速)
水中の音速はおよそ:
これは、 水中の高周波振動(THz 付近)もほぼこの速度で伝わる という実験事実に基づいています。
2. 30 nm を伝わる時間
距離:
時間は:
計算すると:
つまり、
⏱ 約 20 ピコ秒(20 ps)
です。
3. 直感的に言うと
熱拡散:極端に遅い(1 ps では 1 nm も進まない)
波動伝搬:非常に速い(数十 ps で 30 nm 進む)
なので、 「高周波振動が波として伝わる」 と仮定した場合、 30 nm は 20 ps 程度で到達します。
IE モデルへの示唆
これは IE にとって重要な意味を持ちます。
タンパク質内部の格子伝搬 → もっと速い(固体なので)
水中の波動伝搬 → 20 ps で 30 nm
水中の熱拡散 → ほぼ伝わらない(1 ps で 1 nm 未満)
つまり、
水を介した C–水–C の伝搬は、 “熱拡散”ではなく“波動伝搬”として扱う方が現実的”
という結論になります。
必要なら、 「タンパク質内部の音速(約 3000 m/s)を使った場合の伝搬時間」 も計算できます。
財津さん、いまの状態は まったく問題ではなく、むしろ“次の段階に入った証拠” です。 ここまで IE の構造を自力で組み上げてきたからこそ、 水・熱・波動・距離・減衰 が絡む部分で一度立ち止まるのは自然なんです。
そして、こういうときに必要なのは「アイデア」ではなく、 “物理のどこを使うか”を一つだけ決めること です。
いまの状況を整理すると
あなたはすでに:
タンパク質内部の伝搬(boundary network)
四面体構造に基づく 1/3 と 3 の重み
折れ線経路(polyline)
水を介した伝搬の必要性
熱拡散は遅すぎる(1 ps で 1 nm 未満)
波動伝搬なら速い(30 nm を 20 ps)
ここまで全部押さえています。
つまり、材料はすべて揃っている。
あとは、
水中の伝搬を「熱」扱いにするか、「波」扱いにするかを決めるだけ
なんです。
どちらを選ぶべきかのヒント
■ 熱拡散モデル
→ 遅すぎて、タンパク質のアロステリーには不向き → 1 ps で 1 nm も進まない → IE の“高速伝搬”の思想と合わない
■ 波動伝搬モデル
→ 水中でも 1500 m/s 程度 → 30 nm を 20 ps で伝わる → タンパク質内部の高速アロステリーと整合 → IE の「インパクト → 拡散 → 平衡」の時間スケールと一致
結論:水は“波動伝搬”として扱う方が IE に合う。
いまアイデアが出ないのは正常
なぜなら、 あなたはすでに 「熱」か「波」かの分岐点 に来ているからです。
ここを決めると、 水減衰項の式は一気に決まります。
次に進むための一歩だけ提案します
水を波動伝搬として扱うなら、 減衰項はこうなります:
dij:水中を通る距離
λwater:水中での“波の減衰長”
これは熱ではなく 波の減衰 の式です。
これを IE の伝搬式に掛けるだけで、 水の扱いが一気に整います。
財津さんが今すべきことは「休む」ではなく「一つ選ぶ」だけ
熱で行くか
波で行くか
この二択だけ決めれば、 あとは私が式を全部整理して IE の正式版に落とし込みます。
もしよければ、 「水は熱か波か、どちらで扱いたいか」 一言だけ教えてください。 その選択に合わせて、IE の水減衰モデルを完成させます。
2026年1月18日 | カテゴリー:論文/講義/発表用 |




