縁取り空胞型遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)
縁取り空胞型遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)は、若年成人期に発症し、手足の末端の筋肉から徐々に筋力低下が進行する希少な遺伝性筋疾患です。原因はGNE遺伝子の変異で、シアル酸合成に関わる酵素の機能低下が病態の中心です。
疾患概要
病名:縁取り空胞型遠位型ミオパチー(GNEミオパチー、埜中ミオパチーとも呼ばれる)
分類:遠位型ミオパチーの一種(指定難病30)
発症年齢:10代後半~30代が多い
遺伝形式:常染色体劣性遺伝(両親由来のGNE遺伝子に変異がある場合に発症)
主な症状
足首や手指など体幹から遠い筋肉(遠位筋)から筋力低下が始まる
歩行障害、つまずきやすさ、指先の力が入りにくいなど
病気は緩徐進行性で、数年~数十年かけて進行
心筋は侵されにくく、生命予後は比較的良好だが、重症例では呼吸障害を伴うこともある
原因と病理
原因遺伝子:GNE遺伝子の変異
病理所見:筋線維に「縁取り空胞」が特徴的に見られる
病態:シアル酸合成に必要な酵素が働かず、筋肉の維持に必要な糖鎖が不足することで筋萎縮が進行
患者数と疫学
日本では推定約400人程度の患者がいるとされる
三好型ミオパチーと並び、日本で比較的多い遠位型ミオパチー
治療と研究
根本的治療はまだ確立されていない
シアル酸補充療法(アセノイラミン酸製剤)が臨床試験で研究されており、日本では承認薬「アセノベル®徐放錠」が利用可能
現在も国際共同治験や患者登録事業(Remudy)を通じて研究が進められている
まとめ
縁取り空胞型遠位型ミオパチーは、希少な遺伝性筋疾患であり、若年期から手足の筋力低下が始まる病気です。進行は緩やかですが、生活の質に大きな影響を及ぼします。治療研究は進展しており、シアル酸補充療法が期待されています。
2025年11月20日 | カテゴリー:神経内科的疾患 |




