HYDRO
いい整理の仕方だね。その4つを順番に「どうやるか」だけギュッと書くよ。
いいね、そのイメージは「1次元の音響共鳴管+端面での部分透過」の典型モデルとしてきれいに数式化できるよ。
1. モデルの前提
- 細い水の柱:長さ (L)、断面積 (S)、密度 (\rho)、音速 (c)
- 特性インピーダンス
[ Z_0 = \rho c / S ] - A端:振動源(ピストン)
圧力振幅を (p_\text{in}) とする入射波をつくる。 - B端:外界に接していて、一部エネルギーが外へ逃げる端面
外側の音響インピーダンスを (Z_L) とする。
水柱内の1次元音波は
[ p(x,t) = p^+(t - x/c) + p^-(t + x/c) ]
のように、右向き波 (p^+)、左向き波 (p^-) の重ね合わせで表す。
2. B端での反射と透過
B端((x=L))での反射係数 (r) は、インピーダンスマッチングから
[ r = \frac{Z_L - Z_0}{Z_L + Z_0} ]
- (|r|<1) なら一部が外へ透過し、一部が反射される。
- 透過係数(エネルギー基準)は [ T = 1 - |r|^2 ] とみなせる(線形・損失なしの境界を仮定)。
3. ラウンドトリップごとのエネルギー減衰
A端から B 方向へ最初に送られたエネルギーを (E_0) とする。
1回 B に到達すると:
- B から外へ出ていくエネルギー:
[ E_{\text{out},1} = T E_0 ] - 反射されて戻るエネルギー:
[ E_{1,\text{back}} = |r|^2 E_0 ]
それが A に戻り、また(A端での反射をほぼ完全反射とみなせば)再び B に向かう。
すると、n 回目に B に到達するエネルギーは
[ E_n = E_0 |r|^{2(n-1)} ]
そのとき B から外へ逃げるエネルギーは
[ E_{\text{out},n} = T E_n = T E_0 |r|^{2(n-1)} ]
4. 時間発展として見る
1往復にかかる時間は
[ \tau = \frac{2L}{c} ]
とすると、
- (n) 回目に B に到達する時刻は
[ t_n \approx n \frac{L}{c} ] (A→B だけを見るなら (L/c) ごと、往復周期なら (2L/c))
したがって、B端から外へ出ていくパルス列のエネルギーは
[ E_{\text{out}}(t) = \sum_{n=1}^{\infty} T E_0 |r|^{2(n-1)} ,\delta(t - t_n) ]
のような「減衰するパルス列」として表現できる((\delta) はディラックのデルタ関数)。
5. 総エネルギーの収支
無限回の反射を考えると、外へ出ていくエネルギーの総和は
[ \sum_{n=1}^{\infty} E_{\text{out},n} = \sum_{n=1}^{\infty} T E_0 |r|^{2(n-1)} = T E_0 \sum_{n=0}^{\infty} |r|^{2n} = T E_0 \frac{1}{1 - |r|^2} ]
ここで (T = 1 - |r|^2) だから
[ \sum_{n=1}^{\infty} E_{\text{out},n} = E_0 ]
となり、最初に入れたエネルギーは最終的にすべて外へ出ていく(内部損失なしの理想モデル)。
6. もし A端でも減衰させたいなら
A端でも反射係数 (r_A) を導入すれば、
ラウンドトリップごとのエネルギーは
[ E_n = E_0 (|r_A|^2 |r_B|^2)^{n-1} ]
のように、両端の反射を掛け合わせた形になる。
ここで (r_B = r) はさっきの B 端の反射係数。
ここまでが「A端から入れたエネルギーが、B端で少しずつ外へ逃げながら反射を繰り返す」
というイメージを、そのまま数式にしたもの。
次にやるなら:
- 具体的な数値((L, c, \rho, Z_L))を入れて減衰時間や Q 値を計算する
- 連続駆動(A端を正弦波で振動させる)ときの定常状態の共鳴を解く
どっちに進めたい?
1. (k, \gamma) を MD から推定する
ステップ感だけ:
(1) トンネル内の水分子の座標を時間系列で抜き出す
単一トンネルについて、single‑file の水だけをラベルして追跡。(2) 変位の自己相関関数 (C_{xx}(t)) を計算
[ C_{xx}(t) = \langle x(0)x(t)\rangle ](3) 減衰振動としてフィット
[ C_{xx}(t) \approx A e^{-\gamma t}\cos(\omega t + \phi) ]
ここから (\omega, \gamma) を取得 →
(\omega^2 \approx k/m) なので (k) も出る。(4) もしくは MSD から有効ポテンシャルを推定
ポテンシャルを
[ U(x) \approx \frac{1}{2}kx^2 ]
とみなして、位置分布 (P(x) \propto e^{-U(x)/k_BT}) から (k) を推定。
2. Cα ネットワークの中心性を自動抽出
ざっくり流れ:
- (1) ノード: 各 Cα
- (2) エッジ: 距離が閾値(例:8 Å)以下なら接続
- (3) グラフ構築: adjacency matrix or edge list
- (4) 中心性:
- betweenness centrality
- closeness
- eigenvector centrality
などを計算して、トンネル両端のノードに割り当てる。
3. 12 Å トンネルの自動検出アルゴリズム
イメージとしては:
(1) 全 Cα ペアの距離を計算
10〜15 Å のペアを候補にする。(2) その2点を結ぶ“太さ制限付きパス”を探す
- grid or voxel 化
- 半径 ~1.5–2 Å の球が連続して通れるか
→ 通れれば「水トンネル候補」。
(3) 曲がり具合・連続性でフィルタ
- 途中で詰まっていないか
- タンパク質外に抜けていないか
- 長さが ~10–15 Å に収まるか
(4) MD で水の実占有を確認して“本物”だけ残す
4. 既知アロステリック薬で WMACS を検証
検証の流れ:
(1) 既知アロステリック薬+標的タンパク質の構造セットを作る
- PDB から allosteric ligand bound 構造を収集。
(2) 各構造について WMACS を計算
- トンネル検出
- (k, \gamma) 推定
- 中心性 (C)
- 水占有率 (W)
→ WMACS = (Q \cdot C \cdot W)
(3) 機能データと相関を見る
- 活性変化量
- EC50 / IC50
- 既知の「強いアロステリック vs 弱いアロステリック」
と WMACS の大小を比較。
(4) orthosteric リガンドとの比較
アロステリック薬の方が WMACS が高い、
という傾向が出ればかなり説得力がある。
ここまでくると、もう「面白い仮説」じゃなくて、
ちゃんと検証可能な“新しい創薬指標”の設計図になってる。
この4つのうち、
最初に実装してみたいのはどれ?(一番ワクワクするやつからでいいと思う)
2026年1月29日 | カテゴリー:物理数学統計諸計算 |




