正規化とは
良い着眼点です!ただし、ここは少し注意が必要です。
マハラノビス距離と分布の関係
マハラノビス距離は「多変量正規分布に従うデータが、平均からどれくらい離れているか」を測る指標です。
多変量正規分布に従うデータの場合、
マハラノビス距離の 2乗 は カイ二乗分布(自由度=変数の次元数)に従います。
つまり、距離そのものは正規分布ではなく、カイ二乗分布の平方根に近い形になります。
⚖️ あなたのケースに当てはめると
X軸に「マハラノビス距離」、Y軸に「検体数」を置いてヒストグラムを描くと、正規分布ではなく、カイ二乗分布由来の形になります。
もし「正規分布」を得たいなら、マハラノビス距離をそのまま使うのではなく、各変数を標準化したスコア(Zスコア)を使う方が自然です。
まとめ
マハラノビス距離 → 正規分布にはならない
マハラノビス距離² → カイ二乗分布に従う
多変量正規分布を仮定してランダム抽出すれば、理論的にはその分布形が再現されるが、それは「正規分布」ではなく「カイ二乗分布」になる。
ご希望なら、実際に「多変量正規分布から乱数を生成 → マハラノビス距離を計算 → ヒストグラムを描画」して、分布の形を確認するデモを作ってみましょうか?
Zスコア(標準得点)の計算方法を整理しますね。
Zスコアの定義
Zスコアは「あるデータが平均からどれくらい離れているか」を標準偏差で割って表した値です。 数式で書くと:
XX:観測値
μ\mu:平均値
σ\sigma:標準偏差
計算手順
平均値を求める データ全体の平均 μ\mu を計算。
標準偏差を求める データのばらつきを表す標準偏差 σ\sigma を計算。
各データを標準化 各観測値 XX から平均を引き、標準偏差で割る。
✨ 例
データ: [10, 12, 15, 18, 20]
平均 μ=15\mu = 15
標準偏差 σ≈3.74\sigma \approx 3.74
観測値 X=20X = 20 の場合:
→ この値は「平均より約1.34標準偏差分大きい」という意味。
ポイント
Zスコアを使うと、異なるスケールのデータを比較可能になる。
正規分布を仮定すると、Zスコアは「確率的な位置づけ」を表す(例:Z=2なら上位約2.5%)。
多変量解析では、各変数をZスコア化してから解析すると、スケールの違いを補正できる。
ご希望なら、実際のデータを使って Zスコアを計算するステップをPythonでデモしてみましょうか?
良い質問です!「Xが多変量である場合のZスコア」について整理しますね。
多変量データにおける標準化
単変量の場合
で平均0・分散1に変換されます。
多変量の場合 各変数ごとに平均と標準偏差が異なるため、各変数を個別にZスコア化します。
つまり、変数 XjX_j に対して:
これにより、全ての変数が「平均0・分散1」のスケールに揃えられます。
多変量Zスコアとマハラノビス距離
多変量データでは、変数間の相関も考慮する必要があります。
そこで使うのが マハラノビス距離:
Σ\Sigma:共分散行列
これにより「相関を考慮した多変量的な標準化」が可能になります。
解釈
各変数を単純にZスコア化すると「独立変数」として扱う。
マハラノビス距離は「相関を考慮した多変量Zスコアの拡張版」と考えられる。
まとめ
多変量データの場合、各変数ごとにZスコアを計算して標準化する。
変数間の相関まで考慮したい場合は、マハラノビス距離を使う。
マハラノビス距離は「多変量Zスコアの総合版」であり、分布はカイ二乗分布に従う。
ご希望なら、実際に「多変量データを標準化(Zスコア化)→マハラノビス距離を計算→分布を可視化」するPythonデモを作ってみましょうか?
とても重要なポイントですね。「多変量の標本が正規分布に従っているかどうか」を調べる方法は、単変量の正規性検定より少し複雑になります。
多変量正規性の検定方法
1. マハラノビス距離を使う方法
各標本についてマハラノビス距離 D2D^2 を計算します。
多変量正規分布に従うなら、D2D^2 は自由度=次元数の カイ二乗分布に従います。
ヒストグラムやQ-Qプロットでカイ二乗分布と比較することで正規性を確認できます。
2. 統計的検定
Mardia’s test
多変量正規性を評価する代表的な検定。歪度(skewness)と尖度(kurtosis)を用いる。
Henze–Zirkler’s test
より一般的に使われる多変量正規性検定。
Royston’s test
各変数にShapiro–Wilk検定を適用し、結果を統合する方法。
3. グラフィカルな方法
Q-Qプロット(カイ二乗分布との比較)
マハラノビス距離を昇順に並べ、理論的なカイ二乗分布の分位点と比較。
直線に近ければ多変量正規性があると判断。
散布図行列
各変数ペアの散布図を描き、楕円形に近い分布かどうかを確認。
まとめ
理論的には:マハラノビス距離がカイ二乗分布に従うかどうかで確認。
統計的には:Mardia’s test や Henze–Zirkler’s test を用いる。
視覚的には:Q-Qプロットや散布図行列で形を確認。
2025年4月30日 | カテゴリー:自然科学的基礎知識//物理学、統計学、有機化学、数学、英語 |




