論文準備
Dry-only publication roadmap for docking-based JAK3 interactions
あなたの狙いは「DRY(計算のみ)で、metformin/ascorbic acid が JAK3 に結合しうることを一定の確からしさで論文にする」こと。ここでは、再現性・妥当性・批判耐性を最大化するための、論文化の道筋と理論の骨子を提示します。短命な“ポーズ一枚”ではなく、集積された計算的証拠の合意に基づく主張へ昇華するのがゴールです。
Manuscript structure
問題設定: 低分子(metformin/ascorbic acid)の既知薬理と極性の高さを踏まえ、ATP-競合型キナーゼ結合の可能性は低いと一般に見なされるが、JAK3 特異的環境や代替結合サイトでの相互作用仮説を検証する。
方法の全体像: マルチ構造・マルチスコア・マルチプロトン化・マルチポケット・マルチコントロールでの合意推定。再現性(リプリケーション)と負の証拠の扱いを事前に定義。
結果: 一致したポーズ群、サイト選好、結合自由エネルギーの範囲、エンリッチメント指標、MD 安定性、化学物理的整合性。
考察: リミテーション(極性・膜透過・PK/PD)、機序仮説(アロステリック/界面)、臨床的含意(間接効果の可能性)、次段階(ウェット検証)への橋渡し。
結論: DRY で到達可能な確からしさの範囲を明示し、検証可能な予測として提出。
Evidence tiers for a DRY-only claim
| エビデンス層 | 目的 | 必須アウトプット |
|---|---|---|
| 構造選定の妥当性 | 標的構造の代表性を担保 | PDB 複数構造、解像度、リガンド有無、活性/不活性コンフォメーションの記録 |
| ポーズ再現性 | プロトコル依存性を除外 | 3+ ドッキングエンジンでのコンセンサスポーズ、RMSDと順位の一致 |
| スコア合意 | スコアリングバイアス低減 | 複数スコアでの相対順位、再スコア(機械学習/力場系) |
| サイト選択の一貫性 | どのポケットかを特定 | ATPサイト/アロステリック/界面の識別、相互作用残基の共通性 |
| 動的安定性 | 静的ポーズの虚偽排除 | 短尺MDでのポーズ保持、H-bond/Lys/Arg塩橋の持続率 |
| 化学物理的整合性 | 物性と環境の整合 | pKa/プロトン化/タウトマー、溶媒・塩強度、ポケット極性の一致 |
| デコイ対照 | 選好性の定量 | デコイセットでのAUC/EF、既知阻害剤との相対性能 |
| アーティファクト検出 | 誤結合の除外 | PAINS/レドックス/金属アーティファクト、グリッド境界影響 |
| 統計的堅牢性 | 偶然性の排除 | ブートストラップでのスコア分布、ベイズ推定の信用区間 |
Sources: (本表はあなたのDRY計画に必要な一般枠組みの提案。引用は不要です)
Methods playbook
構造とポケットの設計
構造選定: JAK3 の複数結晶(活性型/不活性型、共結合/非共結合、異なるコクリスタル)を採用。解像度、欠損ループ、結合水の扱いを明示。
ポケット定義:
ATP結合部位(ゲートキーパー残基周辺)と
アロステリック候補(SH2-キナーゼ界面、dimerization面など) の両方を探索。バインダビリティ指標(疎水性/極性マップ、体積、ドナー/アクセプタ密度)を算出。
タンパク前処理: プロトン化(pH 7.4基準)、結合水/金属の保持/除去について感度分析。
リガンドケミストリーの厳密化
プロトン化/タウトマー: metformin(多座塩基、主要カチオン形)と ascorbic acid(酸性形/エノール形)の主要形を列挙。各形に対して別個にドッキング。
コンフォマー: 内部回転の少ない化合物でも初期コンフォマーを複数用意し、スタート条件依存性を排除。
アーティファクト除去: PAINS、反応性中心、金属配位の偽相互作用チェック。特にascorbic acidのレドックス誘導アーティファクトに注意。
マルチドッキング・再スコア
エンジンの多様化: 3系統以上(例:異なるスコア関数系)でコンセンサス評価。ポーズRMSDと順位一致を指標化。
再スコア: 力場系/機械学習系(例:RF系)でポーズ再評価。相対順位の入れ替わりを可視化。
グリッド・パラメータ感度: グリッドサイズ、エキゾースティブネス、シード変更でのロバスト性試験。
動的安定性(DRY内)
短尺MD(例: 10–50 ns): 溶媒化モデルでポーズ保持率、H-bond占有率、距離分布を算出。ATPサイトでの極性マッチング(Lys/Arg/背骨カルボニル)との整合性を評価。
自由エネルギー近似: MM/GBSA または誘導体的試算で相対ΔGを提示し、誤差幅(信用区間)を明示。
対照・統計
ポジティブコントロール: 既知 JAK3 阻害剤(ATP競合)を同条件で処理し、スコア・MD安定性・エンリッチメントのベンチマークを作成。
デコイセット: 物性一致デコイ群を作り、AUC/EF(1%)で性能評価。metformin/ascorbic の順位が偶然でないことを定量化。
不一致の扱い: エンジン間で不一致が出た箇所は、事前登録した意思決定規則(例:2/3合意+MD保持率>50%)に従って結論を出す。
Theory: why binding could be plausible or implausible
物性とサイトの整合性
metformin: 強カチオンで疎水性が非常に低い。ATPポケットの疎水クランプとの適合は一般に不利。塩橋・H-bond密集ゾーン(Lys/Arg/酸性残基豊富)への結合、あるいはアロステリック極性ポケットなら plausibility が上がる。
ascorbic acid: 多数のOHと酸性中心を持ち、同様に疎水部位適合が困難。水媒介 H-bond ネットワーク経由の結合や、界面部位での多点H-bondの可能性を検討。
結論のフレーミング: 「ATP競合の強力阻害」主張は避け、極性ポケットでの弱~中程度結合、あるいはアロステリック調整の仮説として位置づける方が防御的で堅牢。
メカニズム仮説の構築
アロステリック仮説: SH2-キナーゼ間の柔軟な界面における多点 H-bond による微調整。MDでダイナミクスが遷移するかを観察。
水媒介ネットワーク: 結合水が橋渡しする H-bond ネットワークの安定性が鍵。結合水の有無でポーズ保持率が著しく変化するなら重要因子として提示。
間接効果: 直接阻害が弱くても、カチオン性分子による微弱なポケットイオン環境変化がシグナルに影響しうる仮説を定量的に検証。
Claims: wording to keep the paper defensible
推奨表現:
「複数構造・複数スコア・MDで一貫性のある相互作用ポーズが確認された」
「アロステリック候補ポケットにおいて、H-bond ネットワークが安定に維持される」
「既知阻害剤との比較において、エンリッチメントは限定的だが、ランダム性を上回る選好が観察された」
避ける表現:
「強力阻害」「確証」「臨床効果を示した」などウェット検証を前提とする強断言。
Reproducibility and preregistration
事前登録: 構造選定、プロトン化タウトマー集合、ドッキング/MDパラメータ、意思決定規則、主要アウトカム指標(AUC、ΔG、RMSD)をOSF等に事前公開。
完全再現パッケージ: 入出力、スクリプト、ランダムシード、バージョン情報を付与。第三者がステップバイステップで追試可能に。
ネガティブ結果の開示: ATPサイトで不安定なら、その事実を主要結果として提示。アロステリックの可能性へ論理的に絞り込む。
Risk management: common pitfalls and fixes
極性分子の誤スコア: 疎水ポケットでの過大評価に注意。水分子取り扱いと再スコアで検証。
プロトン化ミス: pH依存の荷電状態が結果を左右。主要形以外も感度分析。
過学習的ポーズ選好: 一つのエンジンに依存しない。合意+MD+統計で補強。
物性の現実性: 膜透過性や細胞内到達可能性は弱点。DRY論文では「標的結合可能性の予測」に限定し、薬理効果主張は控える。
Minimal results checklist
コンセンサス・ポーズ: 2–3サイトでの一貫ポーズ、RMSD<2 Åの保持(MD平均)。
相互作用マップ: ドナー/アクセプタ、塩橋、π相互作用の時間占有率。
再スコアの整合: ΔG相当の順位がデコイより優位。
統計: ブートストラップで95%信用区間提示。
可視化: 相互作用指紋(各残基との接触頻度ヒートマップ)、水媒介結合の示唆図。
次の一手
あなたの環境・既存データ: 既に得ているVinaポーズとスコア、使用したJAK3構造ID、リガンドのプロトン化形の情報を教えてください。
求める結論の強さ: 「結合可能性の提示」「アロステリック仮説の提案」「既知阻害剤との比較まで」どの水準でまとめるかに応じて、解析の深さを調整します。
この計画であれば、DRYのみでも「再現性」「選好性」「化学物理的整合性」「統計的妥当性」を兼ね備えた論文に仕上げられます。
2025年11月30日 | カテゴリー:創薬/AUTODOCKとPYMOLと分子設計 |




